2016年12月15日(木) 入院7日目

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6時ぴたりに起床。ぐっすり眠れた。

自宅での就寝時と同じようにパンツ一貫でベッドに入ったのが勝因か。

明日からもそうしよう。巡回に来た看護師さんに見られないように。

検尿。便通なし。

体重測定101.6kgで前日比0.2kg減。

明日・明後日あたりからまた減り出すだろう、と期待。


今日は2回目のターゲス(血糖日内変動検査)なので

夜までに7度の採血がある。

7時、まずは1回目の採血。

いつも針を刺す場所が同じで、血管が硬くなってきたそうなので、

違う場所からの採血にチャレンジするという。

こちらとしては失敗して何度も刺されるのは嫌なのだが。

しかも、朝の失敗率は高いし。

なんて思っていたら、やっぱり失敗。

結局はいつもと同じ場所から血を抜いた。


病床から眺める窓の景色は

四方を病院の建物に囲まれた狭く無機質な空間で、

空もちょっぴりしか見えないのだが、

朝焼けが外壁をまぶしく照らして美しかった。

明るいと気分も晴れるというものだ。


昨夜のうちに書いておいたブログ記事を推敲してから投稿。

つくづく仕事の原稿もこんな感じにスムーズに書けたらいいのに。

この文章をなげやりに書いているわけじゃないけど、

やっぱりお金をもらう(対価を期待されている)原稿と、

ほぼ自分のための記録文(公開日記)とでは、

文責の重さがネズミとゾウくらい違う。


 


 本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』中公新書


 18歳、浪人生のときに読んだ本。当時のベストセラー。

 かんたんに導入部だけの内容を言うと、

 身体の大小や寿命の長短に関係なく、

 動物(人間をふくむ)の対体重あたりの必要エネルギー(一生分)は

 同じという話だったはず。心臓の鼓動の数とかも。


長い文章でも短い文言でも、

書き手は「書く」ことには同じく熱意を持って向かいあうはずだ。

書きやすいか書きにくいか、書きたいか書きたくないか、それは別もの。

ぼくにとっては、書くことは効率の良い商売ではないが、

それ以外に換金の手段がない。


などと考えているうちに朝食。



米             195g(半分残す) 2単位:160kcal

味噌汁(しいたけ)     1杯 0.5単位:40kcal

いんげん油炒め       1皿 1単位:80kcal

たまご焼き         1皿 1単位:80kcal

ポテトサラダ        1皿 0.5単位:40kcal

ふりかけ          1袋(使わずに保管)

【5単位:400kcal 8時00分】


食べ物として嫌いなものではないけれど、

味噌汁の具としてのしいたけって、なんだか投げやりな見た目だよね。


9時半、2回目の採血(ターゲス)。


コーヒーを淹れるようとデイルーム(病棟にある談話室)へ行くと、

車イスに座った老婆(パジャマ姿ではない)がひとりで窓を向いていた。

湯を注ぎながら耳をすませると、その老婆のつぶやきが聞こえてくる。

「くそにもならねぇ。くそにもならね。くそにもならねぇ。」

何度も何度も「くそにもならねぇ」と繰り返す。

過去を思い出しているのか、いま現在の境遇に悪態をついているのか、

もし知人に面と向かって言われたらドキっとするような言葉を、

窓にむかって、もしくは単なる虚空へ投げかけていた。


11時、本日3回目の採血。

もう失敗は嫌なので、自ら手の甲を差し出す。

ちくりと痛い。痛いけど2回痛いよりはいい。


お昼の時間。



米             195g(半分残す) 2単位:160kcal

焼き魚           1皿 1.5単位:120kcal

炒り豆腐          1皿 0.5単位:40kcal

牛乳            180ml 1.5単位:120kcal

【5.5単位:440kcal 12時25分】


見た目が悪い(味に期待できなさそうな)焼き魚だったが、

ほどよく脂の乗った素晴らしい逸品だった。感謝。


今日はお出かけせずに、朝からずっと原稿を書いている。

明日が締め切りなのだが、ちょっと間に合わなそうだ。

月曜から着手する予定が、散歩にチカラを入れすぎてしまった。

どこかで挽回しよう。


パジャマの交換。シーツの交換。

14時、4回目の採血。


毎日、同室の患者のところに、別室の患者がやって来る。

どうやら昔の同僚らしい。毎日ほぼ同じ会話をしている。

そして五割くらい話が噛みあわない。

函館の景気が良かったころの話が聴けて、すこしおもしろいのだが、

声がうるさく感じることもある。

基本的に病室は療養する(寝たり食べたりする)場所なので、

お見舞いに行く人はベッドサイドで話し込むのは遠慮した方がいい。

患者が身動きができる状態ならデイルーム(談話室)へ行くべきだ。

いくら声をひそめて話していても、

同じ病室内にいると話はすべて筒抜けである。

入院していると見知らぬ人の家庭事情にどんどん詳しくなってしまう。


かみさんが来て、30分ほど病院内のドトールで無駄話。

今日はやはり病院内にあるローソンで購入したケーキを、

わたくしの目の前でぺろりっと平らげていた。

クランベリーソースがおいしそうでございました。


IMG_8884.JPG


15時過ぎ、富岡町「居酒屋あまの」に電話。

今月30日の宴会を予約。予定では退院の翌日である。


外では雪がちらちら舞い落ちてきた。

窓は二重になっているけれど、

二世代前くらいな感じの勢いですきま風が入ってくる。

この病棟はこの病院では古い建物なので。


17時、本日5回目の採血。

入院時から数えると12回目の採血になる。

もう左の肘窩(ヒジの内側)は痛くてダメだ。

右の手の甲も痛みが増してきた。

右肘窩は失敗続きだし、左の手の甲はなぜか血管が隠れがち。

この先も血管には苦労しそうだ。


空腹絶頂。仕事の集中力も途切れてしまうほど。

ようやくの晩ご飯。



米             195g 4単位:320kcal

すまし汁          1杯 0.5単位:40kcal

牛鍋風           1皿 2単位:80kcal

サツマイモ         1皿 0.5単位:40kcal

【7単位:560kcal 18時00分】


牛鍋の風ってなんだろう。というよりも牛鍋ってなんだろう。

料理名からは文明開化の雰囲気が頼っているが、

実際に食べると脂質ゼロの固い牛肉にがっかりしただけだった。


旅と酒のお友だちから、すてきな一升瓶の写真が届く。

先ほど宴会予約の電話をした居酒屋で呑んでいるようだ。

自宅にいるかみさんに教えたら、一緒に呑みたいってことになった。

居酒屋からワインバーに移動したようである。

心底うらやましい。うらめしくはない。


21時、本日7回目の採血。これでターゲスがようやく終了。

午後からの採血はすべて右手の甲からだった。痛い、痛い、痛い。


消灯後も仕事を続ける。

窓からは忍び込んでくる寒風がカーテンをゆらしている。

雪はやんだようだ。


今夜もパジャマを脱いで、パンツ一貫で眠ることにする。


【本日の食事量総計】

17.5単位:1400kcal(設定値:21単位1680kcal)

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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