道南へ。秋の道しるべ(1/4)

先日、道南(渡島檜山)の秋観光を紹介する文章を書いたのですが、
依頼主のご意向をよく酌み取っていなかったようで、
最終的に掲載された文章は3人くらい書き手がいるような状態になってしまいました。
これはもう、プロとして恥ずかしいことではあるのですが、
いろんな事情というか背景もありますし。で、せっかく手を付けた文章なので、
ここで僕が「書きたかった」かたちで再掲載しようかと思います。
もともとは地元の人に読んでもらうために書いた記事です。
ちょっと、いや、けっこう加筆していますが。


※今回は文字だらけですがご了承ください。


 旅の目的(楽しみ)は、「未知との出会い」と言ってしまっても良いでしょう。憧れの街、見知らぬ風景、驚きの事実、非日常の体験。いまだ知らない感動を探して、私たちは旅をします。
 とは言え、旅の目的地は「遠い土地」ばかりではありません。毎日を暮らす私たちの地元には、感動がいくつも存在しています。楽しみ方によっては、隣町さえ立派な旅先になります。
 道南の気候・自然・歴史が育んできたもの。そのひとつひとつが旅の魅力です。秋の旅は季節の移ろいを楽しむとき。目で耳で鼻で舌で肌で、とにかく体ぜんぶで渡島と桧山の魅力を探す旅に出ませんか。ガソリン代もかかりませんし。

道南の食材(海と山と人と)
 津軽海峡・日本海・太平洋と、道南には三つの海があります。季節を問わず多種多様な魚介類が近海で水揚げされ、高鮮度のまま楽しめる。ほんの一例をあげれば、日本海の真イカ(スルメイカ)、噴火湾のホタテ、津軽海峡のマグロなどなど。それぞれの海の特徴が見えてきます。
 稲作・畑作・酪農のすべてがそろっているのも道南の特徴です。全道・全国への進出が決まった人気銘柄米「ふっくりんこ」は、ここ道南で生まれ育った品種です。昔から男爵いも・カボチャ・ニラなどの野菜栽培も盛んにおこなわれてきました。牛や豚などの地域ブランド肉(木古内町「はこだて和牛」・森町「さわらポーク」・奥尻町「おくしり和牛」など)、牛乳や乳製品(チーズやアイスクリーム)も地元産がそろう。厚沢部町の畑で収穫した芋でつくった本格焼酎もうまい。
 漁村と農村が近い道南は、魚介類と農作物がともに豊富です。魚(もとは塩蔵品だった)と野菜をたっぷり使った郷土料理の三平汁は、まさに道南の地域性を生かした逸品でしょう。季節ごとに具が異なり、秋三平には大根・キャベツ・カボチャなどが使われます。

(つづく)

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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