道南へ。秋の道しるべ(3/4)

(つづき)

道南を「みる」

 観る(見る)とは知ること。知ろうとすること。僕はそう思います。目的地への到達を急ぐこと、それだけを旅の目的や成果にしてはつまらない。きっと、流れる車窓を見ているだけでは、知ることができない・出会うことができないものがたくさんあるはずです。立ち止まる。ふり返る。歩いてみる。それが旅のコツ。

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◆奥美利河温泉(今金町)へ向かう道道にて。

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◆静狩湿原(長万部町)の神社と古木。

 道南では北海道らしい地平線の景色はあまり目立ちません(今金町や八雲町には近い風景を見つけられますが)。そのかわり水平線を背景にした海辺の景色は変化に富んでいます。噴火湾ではゆったりとした内海の風景が広がり、日本海側は奇岩がならぶ荒っぽい海岸線で、海の色にも波の形にも異なった印象を抱くでしょう。ここに津軽海峡を加えて、道南の旅では三つの海の潮風を感じ比べることができます。

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◆噴火湾の南方(鹿部町と旧南茅部町の境あたり)から見た駒ヶ岳。

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◆津軽海峡の波に洗われる矢不来(旧上磯町)の坊主。

 秋の知らせは北から南へと広がっていきます。これからは紅葉の季節ですから、色づく落葉広葉樹に注目してみます。まずは道南の森を代表するブナ、そして、ミズナラ、ハリギリ、イタヤカエデ、ホオノキ、ダケカンバ、トチノキ、サワグルミなどの樹木が道南らしい森をつくっています。自然林だけでなく、街道の赤松並木(国道5号/七飯町〜函館市)や海岸沿いの黒松林なども、東北以南(の植生)を思い起こさせる風景です。

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◆旧国鉄松前線の鉄橋。この線路がなければ、僕はこの世に生を受けていなかった。

 澄んだ秋の風は、街の夜景をいっそう美しくします。函館山からの眺望は大定番ではありますが、やはりその美しさには感動させられます。沈みゆく夕陽にあわせて街の灯りが広がり、ゆっくりと函館夜景があらわれます。海の暗と街の明のコントラストが美しく、海上には無数のまばゆい光点がならぶ。イカ釣りの漁り火は、明日の朝、新鮮なイカが楽しめる合図です。またイカの話題になってしまいましたね。

つづく

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◆旧恵山国道の日浦海岸あたり(のはず)。手掘りのトンネル。

※やはり写真がないと寂しいので、6〜7年前の写真をHDの底から探し出して掲載しました。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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