糖尿病入院日記:7月17日(0.1トンまであと少し。)

7月17日(金)

もしよろしければ、函館中央病院での入院十二日目の金曜日。
慢性高血糖症(糖尿病)および高血圧および高脂血症の治療中である。
日曜日には退院だ。あと少し。

4時7分に起床。今日は晴れそうだ。
忘れた。昨日のことは、すっきり忘れた。気分も晴天だ。
ということで、日記の書き直し作業に着手。
6時すぎ、向かいの病棟から、びがーっと朝日が登場する。

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◆病棟から見渡した函館。

7時、体重測定100.8kg。おお、一つ目の峠の山頂が見えてきた。
数字をメモするついでに、「もう少しだ!」と書いておいた。
こういうことも叱られるんだろうか。

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◆目玉焼きには醤油ですか? 塩ですか?

7時半、朝食。ご飯、味噌汁(大根葉)、白菜おひたし、牛乳、焼きのり。
正しい朝食。ゆっくりと食べる。
そりゃね、朝4時から起きてりゃ、朝飯だって余裕ありますぜ。

ばりばりと昨日の日記のリロード分を書いていく。
昨日のことだから、もう忘れてしまったと思っていたが、
意外なほど記憶を紡ぎ出すことができて、気が付けばいつもと同じ分量に。
9時くらいに書き終えた。

9時15分、血圧測定139の86。
日曜日で退院ということで、支払いのことを言われる。
精算は土曜日に、とのこと。金額のことを聞きそびれた。あとで聞きに行こう。

朝の集中力を使い果たしたので、午前中はネットで糖尿病食の通販などをチェック。
ニチレイが最大手らしい。調理済み品(おもに主菜・副菜で300kcal前後)か、
材料を送ってくるタイプの二つがある。
そういや、事務所の上の階の会社で、給食サービスを利用しているところがあるな。
月にいくらぐらいなのかね。「函館 宅配 給食 糖尿病食」などでググるも、
しっくりくる検索結果は見つからず。

 話がちょっとズレるけど、糖尿病って商売になるよなぁ。
 ネットで関連項目を検索していると、つくづくそう思う。

宅配業者4社の資料請求をしておく。
その他、入院中に通販で用意したもの。
・体重計(かなり探したが、手頃な価格で100kg以上を100g単位で計量する体重計は見つけられなかった。失礼しちゃうわ。ただ、いま持っている100kg以上は投げやり1kgきざみ表示よりは良い。)
・血圧計(これは安いのを選んだ。こっちは目安だし。)

来週末には小樽からカミさんが帰ってくるから、来月の旧盆くらいまでは
食事に関して問題はないだろう。ただ、飲酒回数がじゃっかん心配だが。
カミさんからのメールを見ると、毎晩、糖尿食メニューを試作してるようだ。
薄味にしてみたら、薄すぎて味気ないとか言っている。
つーか、お前が痩せても仕方ないんだけど。おっぱいも小さくなるぞ。
心配なのは彼女が帰ってからの食事だ。
料理を「つくる」ことを習慣づけられるかが問題だ。
いままでのような趣味の料理ではない。生きるための料理だ。

11時前、主治医の回診。
「書いておきましたよぉ。診断書。もしかすると、退院前にお渡しできるかも知れません。」
あら、すんません。ありがとうございます。
なんか催促したみたいで悪いですね。まぁ、催促したんですが。
昨日、気になった質問をする。
「糖尿病の影響で、記憶力に障害が起こることはあるのでしょうか?」
「直接的には、、、」
「脳の記憶を司る領域の血管が滞るとか。」
「ああ、それはあり得ますね。とにかく、糖尿病は全身の血管に障害を起こす病気ですから。」

そうなんだよなぁ。糖尿病で失明するのも、腎臓を患うのも、足が腐っちまうのも、脳の血管がやぶれちゃうのも、ぜんぶ高血糖によって血管が劣化しちゃうことが「引き金」なんだよね。
別に、尿に糖がふくまれていて、なにかどこかを傷つけるわけじゃない。
尿に糖が出ちゃうような高血糖(もしくはインスリンの枯渇や機能低下)が問題なわけで。
やはり、糖尿病は慢性高血糖症か高血糖性血管障害に改名すべきだと思った。
病気への理解(病気を知る・患者へ配慮する)も進むと思うのだが。

「もうすぐ100kgを切りそうですね。」
「そうなんですよ。あと800gです。」
「退院までは、ぎりぎり難しいかな。」
「いや、今日は外で思いっきり走ってきますから。」
「や・め・て・く・だ・さ・い。」
ということで、主治医とはしばしの別れ。
来月の6日に外来で再会することになる。HbA1Cの数値はどうなっているやら。
「じゃ、試験がんばってください。」
「覚えてましたか。」

11時半、昼飯。
向かいのおじさんは、昨日の昼から絶食状態。
だんだん嘆きが多くなってきて、看護師さんに多少あたる感じもある。
うまくガス抜きをする看護師もいれば、たじろいでしまう看護師もいれば、
とにかくスルーに徹する看護師もいる。
こちらはずっと背中を向けて机の前に座っているので、
声だけしか聞いていないが手に取るように感じる。

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◆今度こそ熱々かと思ったら、やっぱり冷たいそうめんだった。一瞬、天かすが乗っているように見えて、これは脂まつりだ、と思ったが、それは儚い夢だった。

そうめん(鶏ささみ・ほうれんそう・ゆで卵・ネギ)、茄子揚げびたし、湯豆腐、バナナ。
ぜったい醤油は2袋いらんと思った。使わすに、バナナと一緒に冷蔵庫で保管。
そうめんの汁は、汁までカロリーと塩分の計算がされているのかどうかで迷ったが、
底に2.5cmほど残すことにした。入院生活による確実な進歩の跡だ。

13時25分、体温測定34.89度。脈拍チェック。
体温が低いんじゃないだろうか。こんなもんか?
1階に行って自動販売機で道新の朝刊を買ってくる。
「海藻おしば」の記事は無事の載っていたようだ。
とくに、渡島支庁からも道新からも、今回の件での連絡はない。
道新はもうどうでも良いが、渡島支庁とは話し合っておいた方が良いだろうな。

14時、最後の糖尿病教室。今日は薬剤師さんが講師で、糖尿病の薬物療法について。
経口薬とインスリンについての説明。それぞれの薬の効き方とか持続時間とか効く場所とか。
授業を聞きながら思ったこと。
1型と2型の糖尿病は、一緒に説明しちゃいけないな。
あなたは2型です。これから2型の説明をします。と、やらなくちゃ混乱する。
例えば、今日一緒に授業を受けていたおっさんが、
「結局あれだべ。膵臓がダメになったんだべ。」
たぶん、この後のセリフは、
「だもの、インシュリンをうっておけばいいんだべや。」となりがちだ。
糖尿病を短時間で一般的な解説によって説明しようとすると、
たぶん「薬があるべや」と短絡してしまう恐れがあると思う。
この件は、項を独立させて改めて書こうと思う。

14時半、本日もお散歩へ。
リュックいっぱいに着替えや書籍を詰め込んだので重い。
やはり海岸町まで40分。これを30分にすれば、もっと汗をかくだろうな。
事務所に着いたら、仙石くんが「お客様が来てましたよ」と。
携帯の着信履歴を見たら、北日本海運の高橋さんと共栄運輸の木村さんだった。
電話をすると、今から行くからと言われた。
その間に郵便物をチェック。
いま放送中(19日で終了)の「函館酒場寄港」第4話で知り合った神奈川のたかやまさんから。
NCVの一森さんから番組のDVDを送ってもらったのだが、そのお礼状だった。
ご丁寧にありがたい。横浜と函館の開港150周年記念切手が同封されてた。
ありがたし。さっそく私設ライブラリーに収蔵。

高橋さんと木村さんが来る。
「ぜんぜん痩せてないなぁ。」
「食事と運動なんでしょ?」
「運動は腎臓の診断が先送りされたんで、食事とお散歩くらいなんですよ。」
「いやー、つまんでんじゃないの?」
「つまんでませんよ。たしかに、ヤキトリ系の香りが病室に漂うこともありますが。」
「飲み屋の真ん前だもんな。」
「それにしても、痩せてないなぁ。」
「期待はずれですんません。」
過分のお見舞いをいただきありがとうございます。

お隣のみなさんに「じゃ、また、ちょっと入院してくるから」と告げて出発。
せっかくなので、歩いて20秒の共栄運輸さんに立ち寄る。
あっ、いたいた。北村さん。
「なんでいるの? さっき木村くんがお見舞いに行ったんだよ。」
「はい。事務所で会いました。」
飲酒の話ばかりしてた。
たしかに、酒の話ばかりしてましたが、以前と比べたら覚悟して節制するつもりです。
でも、打ち上げをしてないんですよね。千葉ちゃんか。
病院の窓から見おろせる「ミカド」の話もしてた。
かなり軍資金が必要とのこと。酒場寄港の取材費じゃ、ぜったい足りない。
北村さんからも病気へのご支援をいただきました。
今後も楽しく飲めるように、きっちり治療を続けていきたいと思います。

16時半、共栄運輸を出発。5分くらい歩いたら木村さんから電話。
「タオルを忘れてますよ」。わざわざ持ってきてもらう。
「送っていきますか?」 ありがとうございます。
でも、歩かないと、退院までに100kgを切らないと思うので。

だいぶ靴になれてきた。もう少しかな。
靴ズレとかは全然なし。やはり足首のサポートがしっかりしているので、
歩いていて足首が「かくん」とならない。
17時7分、函館市青年センターに立ち寄る。
佐々木さんと10秒ほど会話を交わして、門限があるからと、すぐに出発。
痩せましたね、とは言われず。やっぱり、見た目はぜんぜん変化ないんだな。

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◆「あおセン」って略称だけは、どうかと思うぞ。青少年にはわからんだろうけど。

17時15分、病院到着。それなりに汗をかく。
体質が変わったんだろうか。いま、悪いエキスがあふれてるんだろうか。
ずいぶんと汗が臭い。腋が臭い。
ふだんなら毎朝毎晩シャワーを浴びるから、それに比べりゃ不潔ではあるが。
それにしても臭い。耐えられん。
(どのように解決したかは、病院内超法規的措置なので割愛。)

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◆期間限定本町オフィス。上の方にいます。

17時半、晩飯。向かいのおじさんは、いまだ絶食中。
うーーーーんと唸りながら、どこかへ行ってしまった。

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◆(7月23日追加掲載/載せ忘れていたようです。)

ご飯(やわらかめ)、味噌汁(キャベツ)、ホッケ、大根煮物、きゅうり酢の物、りんご風味のマッシュポテト。
噛みしめながら食べる。

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◆今朝とほぼ同じ画角の写真。

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◆・・・・・・。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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