糖尿病入院日記:7月6日(入院初日の出来事)

7月6日(月)

ということで、今日から函館中央病院に入院している。
病室は6階にあってベッドは窓側だ。4人の患者がいて圧倒的に俺が若い。
青空がきれいだ。

先月の15日、右腹部の腫れと痛みで診察を受けた。
「はい。今日から入院です」。
糖尿病。完全放置から4年。ついに体がギブアップしたようだ。
即入院は無理です、ということで3週間後の今日から入院。
その間、進行中の仕事を終わらせたり、
退院後の仕事の仕込みをしておいたり、保険の手続きをしたり。
最初の1週間は毎日通院して点滴をしていた。
主治医に、「腹八分目」というメモを渡されたので、
(これまでに比べると)かなりの節制を(自分なりに)してみた。
おかがで調子が良くて元気になった気がする。

そんなわけで、元気に明るく入院初日を迎えた。

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◆病室からの風景。競馬場・湯の川方面を望む。

8時半、事務所へ。メールチェック。
丸山くんから、昨夜のツール・ド・フランスの感想が届いていた。
今年は十数年ぶり(今中大介さん以来)に日本人が出場している。
しかも2人も。
沖縄石垣出身の新城選手が、昨夜はゴールスプリントで5位入賞。
俺も深夜に大興奮だった。
ツールは約3週間にわたる自転車ロードレースだ。
ずっと観戦してきたのに、ついに日本人が活躍する今年、
このツールの季節に入院だなんて。ひどく残念だ。

9時、仙石くんに緒川ラッシー(亀)の飼育に関する諸注意を伝える。
9時半、事務所の向かいにあるオーシャンタクシーに電話。
いつもは相互交通を利用しているのだが、
事務所から乗車するときはご近所のよしみでオーシャンを呼んでいる。
星野さんと世間話。弥生小学校保存運動の署名。
大荷物をタクシーに積み込んで病院へ。運転手さんは裏道を駆使してくれた。
でも、たぶん素直な道の方が早い気がするが。

10時5分、病院到着。荷物を抱ええて入院受付へ。
「看護師が来ますので、お座りになってお待ちください。」
10時20分。なかなか来ない。
男性職員(渡辺さん)が「ただいま看護師を催促いたしましたので」とフォロー。好感。
待たせないこと、待たせてしまっていることを伝え謝罪し善処すること、
これは接客における最良のサービスである。
25分すぎに看護師さんが来る。看護学生を二人引率している。
たぶん、それで遅くなったんだろう。
「高山さん、テレビに出てますよね?」
いきなりか。そうでございます。担当の看護師さんは視聴者でした。
「波止場も丸善も、けっこう行くんですよ。」
「マジっすか。じゃあ、皆さんで飲みに行きましょうか。」
どこに、どんなチャンスが転がっているかわからないものです。

ベッドに案内されて、寝間着を渡される。
「やっぱり着替えなくちゃダメですかね?」
入院前の予定では、日中は普段着でいようと考えていたので。
「うーん。着替えてください。」
ここはあんまり抵抗せずに着替えることにする。

体重測定。104.6kg。
ちなみに、最大時は2005年8月の114kg(公式プロフィールでも採用)。
最近は体重を聞かれると120kgと言っていた。
糖尿が重症かしていくと体重が減るというから、
これも症状のひとつなのだろう。ぜんぜん気が付かなかったけど。
その後、看護師詰め所にて入院生活の説明。
お風呂は月水土だけなんだって。しかも13時〜18時。うーむ。
自宅ではほぼ毎日、朝シャワー・夜お風呂なんだけどなぁ。しかたなし。

検温、35度ちょうど。血圧は180の110。

病棟のロビーで見知った顔に出会う。えぞ共などでおなじみの下田さんだ。
「どうしたの。ああ、これか。」と、腹を撫でられる。
うしろで看護学生が笑っている。
「厳しく治療しちゃってください。」
余計なことを言うなっ。

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◆昼飯。少なっ。

11時半、昼食。早っ。
1日の摂取カロリーは23単位。1単位は80kcalなので1840kcalになる。
よく糖尿病の闘病記などを読むと(気になって読んじゃうんだよ)、
1日1600kcalってのが多い。ちょっぴり多めなのか。
と、期待してたら、配膳された食事を見てがっかり。めっぽう少ない。
俺はこのあと、別のトレーが出てくるのかと思ったよ。
いつもは、この倍の量を半分の時間で食べていた。
 ・・・入院を言い渡されてからは、ちょっぴり節制していたので倍。
 ・・・それ以前なら3〜4倍は食べていた。
ことさらゆっくり食べる。
ご飯はやわらかめ。甘みもあってそれなりの味。
メインディッシュは「蒸し魚のあんかけ」。子どもの手のひらくらい。
薄味。自炊のときはいつも塩気は少なめなので薄味には慣れている。
が、ダシまで薄いのはなぁ。すかすかの白身をゆっくり噛みしめる。
そう言えば、病院の食事は原産地表示とかしないんだな。
小売店や外食産業では常識になりつつあるが。
副菜は「ささげと豚肉の炒め物」。少量ながら使われている脂を貪欲に摂取。
もうひと皿。りんご。なんてことだ。りんごはアレルギーで食べられない。
ノドや耳の奥がが痒くなっちゃうのだ。言っておいたんだけどな。
ただでさえ少ない食事が。がっくり。

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◆病気の告知に関して、患者の要望を伝える書類。

13時、ようやく落ち着いたので荷物の整理。
どういう状態になったかは諸事情で詳しく書けない。
13時半、看護学生が来て血圧を測る。
「た、か、や、ま、さん、横になってください。」
うん? なぜに名前を呼ぶのに引っかかるんだ?
と、胸のネームプレートを見たら彼女も高山さんだった。
「親戚かも知れませんねー。松前なんですけど?」
「あっ、私も父が松前です。」
「おお、そりゃ親戚確率が高い。ちなみに、館浜なんだけど?」
「一緒です。」
親戚確定。奇遇というやつは、ままあるのだ。

14時、別室で糖尿病教室。出席表を持って行かなくちゃならない。
看護師さんに、「出かけるときパジャマでは心もとなくて」と言うと、
普段着に着替えるのを許してくれた。ありがとう。
だってさぁ、パジャマ姿だと、いかにも病人じゃん。病人なんだけどさ。
30分ほどで終了。

15時半。廊下で主治医(Ws先生)に会う。
「たっぷり検査を入れておきましたから。」とにこやかに言われた。
本当にねぇ。
「見ましたよ番組。たくさん飲んでラーメン食べてましたね。」
前回の診察のときに、「今日から禁酒でーす」と言われたとき、
「すんません。どうしても月1回は仕事で飲酒しなくちゃいけなくて」
というぎりぎりの交渉があった。
そのとき、ぜひ番組を見てくださいと伝えておいたのだ。
「私が見た回の収録はいつだったんですか?」
はい。先生の初診を受ける1週間前でございます。
「その次は?」
はい。入院の4日前に収録いたしました。
「今回、先生の名前を言っておきましたから。」
「えーっ、超恥ずかしいっ。」

また、血圧測定。140の90。

16時40分、病室に主治医が来る。
「さっそく薬が増えまーす。血圧が高すぎです。」
ありがたく頂戴いたします。

17時、大妻高校の齊藤先生が病室を訪れる。ベッドの周りを見て笑われる。
「仕事場ですか? ぜんぜん休んでいないじゃないですか。」
初日に誰か来るとは思わなかった。ありがたいことだ。
「僕が唯一コツコツと蓄積してきたのは病気と体重だけですから。」
我ながら名言だ。

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◆晩飯。2分くらいで食べ終わりそうだ。20分くらいかけて食べた。

17時半。晩飯。やっぱり早い。
やった皿数が多い。大根の味噌汁、うまし。
うま煮(メニュー表には「炒り鶏」とあった。)のタケノコは残す。
鶏肉(ムネ)が嬉しい。小松菜の和え物、うまし。
大根とにんじんの酢の物。パイナップル、完熟。昼より量が多い。
まぁ、ここから明日の朝まで12時間以上メシなしだからなぁ。

病棟では、でかい自動製氷器があって、自由に氷を使える。
これは、氷好きの俺には、かなりの高得点。
売店で爽健美茶を買ってきて、がぶがぶ飲む。

夕食後、病棟のロビーでNHKのニュースを見る。
ここで見ておけばテレビカードのお金が減らない。
どうせ地上波はニュースしか見ないし。
ロビーの窓からは本町の飲み屋の看板を見下ろせる。
夕日が沈んでいく。看板のあかりが目立ってくる。
あの店も、この店も、ここもあそこも、楽しい酒だったなぁ。

血圧測定、187の121。

もうすぐ消灯だ。21時だよ、まだ。健康になっちまうぜ。

入院初日ということで、なんだか興奮してたくさん書いてしまった。
明日は採血7回。いやだいやだ。

【7月11日、一部改訂】

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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