糖尿病入院日記:7月7日(忙しい1日)

7月7日(火)

そんなわけで、函館中央病院での入院二日目。

昨夜は消灯ぎりぎりまでブログを書いていたら、
「消灯です。時間だけは守ってください。」と言われて、
ズバッと部屋の電灯が消される。それがルール。
21時になんか眠れるかよ、と思っていたが、暗くなると眠くなるもの。
携帯電話でツール・ド・フランスのテキストライブをチェックしているうちに、
いつのまにか眠ってしまっていた。
ちなみに、昨日のステージは別府選手が8位入賞。
日本人選手ふたりが刺激しあって良い結果を出している。
くそっ。見たい。
窓は開けっ放しにしておいたのだが(窓際で良かった)少しだけ蒸し暑い。
4時半に起きてしまう。もういちど眠ろうかと思ったが、
どうせ今夜も9時には消灯だ。5時にはベッドを抜け出して仕事をする。

6時半、病棟がざわつき始める。
体重計測。104.2kg。まぁ、一日じゃ減らない。
7時、採血。今日は朝から晩まで7回の採血が待っている。
右腕・左腕と失敗して、看護師さんが交代。けっきょく右手の甲で採血した。
血管が肉の奥深くにあって刺しにくいらしい。
ロビーで朝のNHKニュースを見る。物騒な事件ばかりだ。

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◆待望の朝食。朝日に照らされた白米が美しい。

7時半、お待ちかねの朝食。
ご飯、味噌汁(白菜)、鮭水煮缶、
もやし和え(献立には「梅びしお」とある)、牛乳(180ml)。
今朝のご飯は固め。好みの加減だ。
お米の仕事をしていると、低たんぱく米(低いほど食味が良い)だとか、
アミロース(ねばり)とか話したり書いたりするのだが、
ご飯の美味しさは炊き加減も大きいってことだな。
やはり、ゆっくりゆっくり食べる。好きなおかずばかりで幸せだ。
子どものころから愛飲している牛乳。ここでお前に会えて嬉しいよ。
ストローを差し込んで飲もうとしたら、5mlくらい吹き出してしまった。
もったいないことをした。拭き取ったティッシュがうらやましい。

看護学生の血圧測定。180の132。体温35度。
窓から差し込む朝日はまぶしくて、吹き込む朝の風は爽やかだ。
掃除の人や看護師さんが、この部屋に入るたびに、あら涼しいと言っている。
9時半、2回目の採血。担当看護師。右腕に一発で決める。
10時、和也さんに電話。道新の花火企画記事について。
メールチェック。はこだて幼稚園の先生からメールが届いていた。
星野さんからもメールあり。
 > 飲食店街に隣接する中央病院。
 > そこでしっかりと体調管理・生活習慣の改善に専念するという
 > 強い決意が高山さんの明日への希望を繋ぎ、
 > 多くの読者の希望の応える道。
 > 辛いでしょうががんばってください。
 > 次の50年のハコダテのため、いや日本の明日のために。
 > 今日あたり、高山くん抜きの「飲み会」を
 > 中央病院近辺で開催するとか・・そういう悪趣味はやりません。
 > やるときは黙って。
 > 亀は大丈夫生きています。
 > かなり新しい保護者にストレスがあるようで、一日中暴れていましたが。

11時、3回目の採血。同じく担当看護師。左腕で失敗。右腕で成功。
この看護師さんの採血は痛みが少ない。

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◆ノンフィクションです。このままのレイアウトでした。
◆どんぶりにはふたが乗っていたので、この写真以上のショックを受けました。

11時半、昼食。
さすがに、このトレーを見たときには、鬼嫁にいじめられている姑の気分になった。
しかし、どんぶりのふたをあけてみると、そこにはたっぷりの素麺が。
やった。麺類。まるで給食のメニューに一喜一憂する小学生気分だが、
食べることは幸せ直結だから。
どんぶりを持つ。ずしりと重い。手に温かみは伝ってこないので冷めているのか。
まぁ、それは仕方ないだろう。
ひと口食べてびっくり。かけの冷やし素麺だった。うまいうまい。
素麺ってのびないんだな。それとも、なにか秘策があるんだろうか。
星形のニンジンと錦糸玉子がのっている。
なんだろうと思って献立表を見たら、「七夕そうめん」と書いてあった。
いいよね。こういう細かいイベントもの。すごく大切なことだと思う。
食べても食べても減らなくて、つくづく嬉しくなる。満腹だ。
食った食ったと週刊誌を読みながら横になっていたら、
看護師さんに「栄養指導の時間ですよ」と呼ばれてしまう。
すっかり忘れてた。

12時7分、1階で栄養指導。管理栄養士のTさん。
実は食事療法のための栄養指導は3回目。以前通った病院で経験済み。
通常は家族とともに指導を受けるものである。
妻を出稼ぎに出している僕は、ひとりでの受講となる。

「知識としては頭に入っています。自分なりの目標も決めました。
 ただ、それを『継続する』ことに不安というか自信がありません。
 過去の実情を振り返っても、たぶん、これまで通りだと2カ月が限界かと。
 まずは、そのことについて、具体的な助言をいただきたいです。」
「わかりました。それでは、逆にご質問いたしますが、
 高山さんは食事療法をどこまで真剣に取り組むことができますか?」
「これまで、月に5〜6回のお出かけ飲酒と自宅での飲酒で、
 ほぼ三日に二日の頻度だった飲酒を、月に2回にしようと思います。
 ゼロにはできません。たぶん、その目標だと、すぐ反故にするでしょう。
 食事療法にを完璧にこなすのは難しいですが、
 量と質ともに、これまでのあまりに爛れた内容は改めていきます。」
「お約束できますか?」
「確約はできないのですが、たぶん、月に1回くらいの頻度で
 診察や栄養相談を継続していければ、モチベーションは下がらないかと。
 基本はイイフリコキなので。数値が下がっていくのも楽しいし。」

こんな感じのやりとりをした。
最初、あまりにひどい食生活の現状を聞いて、Tさんも険しい表情だったが、
話しを進めるなかで俺の不安と懸念を理解してもらえたようだ。
そんなわけで、これまでで一番身になる栄養相談だったと思う。

最後に外舘さんとNCV「函館酒場寄港」の話をする。
月2回の飲酒のうちの1回分の飲酒が番組用ですと説明。
今月20日から放送される花園商店街「藤吉郎」の話になる。
店の場所を聞かれて、むかし「ボンいなふね」という店があって・・・
と言ったら、わかるわかる、実家が近所ですから、と。
僕も日吉ヶ丘小学校のときの通学路でした。
あら、まぁ、同窓生。思わず校歌を歌ったくらいにして。
 ♪ 丘 丘 丘だ 日吉ヶ丘だ 朝日がさせば 輝く丘だ
 ♪ 海 海 海だ 巴の海だ  世界に続く ●●の海だ (歌詞忘れた)
小学生ながら、「世界に続く海だ」の歌詞にしびれたものだ。

13時20分、星野さんのご学友で副院長の粉川さんが来訪。
ブログを見たとのこと。2〜3日は内緒で書こうと思っていたのに。
その後すぐに、院長と事務部長も訪れる。
すっかりブログの記事を読まれていたようで、こちらが恐縮。
院長には、しっかりと食事療法のコツを覚えてください、とご指導いただく。
僕の記事は不平や不満ではなく、ユーザーの正直な体験感想記と捉えてください。

13時半、本日4回目の採血。右腕。
看護師さんに、院長とお知り合いなんですか、と聞かれる。
さっき知り合ったばかりだけど。
血中コレステロール値を下げる薬が追加になる。また増えた。
2週間で退院できるんだろうか。少し不安がよぎる。

14時、看護師さんに呼ばれて、これまでの生活について
取り調べを受けて供述調書をとられる。
改めて振り返れば、とにかくひどい生活だった。
(このことは別項で書く。)
看護師さんに、何度が重度のあきれ顔をされた。
その後、糖尿病神経障害の検査。足の裏をこちょがされる。
ちなみに、こちらの看護師さんも番組の視聴者だった。NCVすげーな。

15時40分、とつぜん市丸くんが来訪。ハコダテ150の編集スタッフ仲間だ。
どうしてわかったの?と問えば、ブログを見たとのこと。
2カ月も放置していたブログなのに、ずいぶんアンテナ張ってるなぁ。
なんでもお祖父さんは、中央病院の関係者(偉い人)だったそうだ。
クラシックカメラの話をする。就職活動がんばれ。
苦しくても、自分の好きな仕事に就くのが一番だよ、と無責任にアドバイス。

16時、看護学生のふたりがご挨拶。実習は今日までということ。あら、残念。
記念に写真をと思ったら必死で避けられた。
高山さんの親戚確認をするのを忘れてたなぁ。そのうち、結婚式か葬式で会うだろう。

16時半、北日本海運の高橋さんに電話。
「お父さんが、見舞いに来るなと言われた、と愚痴ってたよ」
まぁ、僕なりの親に心配をかけまいとする配慮ですから。

曇り空。
17時、5回目の採血。右手の甲から。

17時半、ほけん堂の船岡さんに電話。中央病院と繁華街の誘惑について話す。
素早く保険の手続きをしてくれる。ありがたし。

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◆これで260円。素晴らしい。万代食堂なら650円だ。食事も国保3割負担なんだろうか?

17時40分、夕食。おおっ、なんてことだ。すごい量じゃないか。
心なしかご飯も多いような気がする。
衣つきの煮魚。あぁ、こんな高カロリーっぽいものを食べて良いのかしら。
食べ過ぎで胃がもたれそうだ。焼き茄子、お麩の味噌汁、枝豆。
誰かのと間違ってんじゃないのか?
などと心の中でつぶやきながら夕食と感動のご対面をしているときに、
星野さんから電話。あと5分くらいでお見舞いに行くから、と。
なんてこった。この豪華な晩餐を急いで食べなくちゃいけないのか。
30分で食べる予定を5分に短縮。枝豆は冷蔵庫に隠しておくことにする。

17時50分、星野さん来る。ドトールで話そうということで1階へ。
エレベーターから降りたら主治医のWs先生と鉢合わせ。
「あっ、高山さん。あくまで、お仕事のための飲酒を許しただけですからね。
 本当は心を鬼にして禁酒と言いたいところなんですが。」
先生、もちろんわかっております。
僕の心の中では、1カ月の飲酒回数は番組収録ともう1回と決めていますので。
っていうか、看護師さんや栄養士さんに、
主治医から月1回の飲酒許可をもらったと吹聴していたから、
どこからかツッコミが入ったのかな。
ごめんなさい。今後はちゃんと説明します。

アイスコーヒーをご馳走になりつつ星野さんと世間話。
七夕における競争原理について。
七夕における伝統技術(空き缶カンテラ)の継承について。
政治資金規制法について。
入院生活について。
現代の若者の精神構造について。
楽しかった。

星野さんと話している途中、NPO法人なちゅらすの岡田さん親子に遭遇。
どうやらお子さんがケガをしたようだ。ほっぺに大きな絆創膏をしていた。
いま入院してるんすよ、と伝える。
今年は奥尻のプログラムをお手伝いできなくてゴメンね。
 → 17日18日19日 奥尻島での宿泊体験学習

19時40分、本日6回目の採血。
看護師さんの詰め所にいくと看護師さんがひとり。
採血をお願いします、と声をかけると、「採血ですか...」と顔が曇る。
いやーな予感。
刺し直しは辛いので、自ら右手の手の甲を差し出す。
ぷす。ぐぇ、痛い。ぐりぐりぐり。逃げる血管。失敗。
別の看護師さんにバトンタッチ。左手の甲。ぷす。ぐぇ、痛い。でも採血は成功。
両手とも採血箇所がぷっくり腫れる。
あと1回。次は21時の就寝直前だ。なかなか痛みが引かない。もうイヤだ。
やせたら血管は浮いてくるかしら。

ということで本日はここまで。半日くらいブログを書いてるな。
明日はもうちっと仕事をしよう。

【7月11日、一部改訂】

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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