糖尿病入院日記:7月9日(歩いたり考えたり)

7月9日(木)

しかしながら、四日目となった入院。函館中央病院にて。

昨夜は洗濯機が使用中だったので洗濯を断念。
少し寝苦しくて、ちょっと涼もうと病衣(ねまき)を脱いで素っ裸になる。
油断してそのまま眠ってしまったようだ。
起きたらなぜか病衣の下だけ着ていた。この世には不思議なことがあるものだ。

5時15分、体重測定103.6kg。
とくに運動もしていないのに体重が地味に減っている。
ほぼ基礎代謝だけで減っているわけだ。ずいぶんと燃費の悪い俺。しかも馬力なし。
あっ、でも仕事をしているから、脳でカロリーが消費されているのかも。
ちなみに、俺の基礎代謝は【2310kcal/日】だ。
基礎代謝は(体重)×(基礎代謝基準値)で算出できる。
詳しくはWikipediaの基礎代謝のページを。

ロビーの窓から本町の繁華街を見おろすと、
男女4人が歩道に座り込んで楽しそうにお話をしている。
そうそう。いま時期は飲み明かすと外が明るくて、
飲み過ぎたなぁという脱力感と朝を迎えた高揚感がないまぜになって、
俺もよく道路に寝転がったものだ。ついこのあいだまで。

6時ぴったりに洗濯機を確保。テレビと同じカード式。
洗濯機200円(39分)、乾燥機100円(30分)。
洗剤は売店で購入しておいた。5袋入り105円。
カードを投入するもエラー表示。あれれ。乾燥機の方に入れたら、ちゃんと読み込んだ。
じゃあカードを取り出してと思ったら、ぴぴっと課金されて乾燥機が動き出す。
空っぽなのに。なんてことだ!
あわててトビラを開けると停止してくれた。開始ボタンがないのね。油断も隙もない。
お前の出番はこの後だ。100円で一喜一憂する生活。いや、それは入院前と変わらないか。

7時、洗濯機へ。おお、悲しい現実。乾燥機の度数が失われていた。
可動していなくても時間は減算されるわけか。くそっ。
ということで、ふたたびカードを挿入して乾燥工程へ。

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◆あぁ、奥尻に行きたいな。島では立茎アスパラの栽培が盛んです。

7時半、朝食。
ご飯、炒り卵(アスパラ入り)、ホウレンソウ、味噌汁、牛乳。
20分ほどかけて食べる。栄養士さんが、食事の途中で何度か箸を置くように、
と言っていたので実践してみる。というか、ゆっくり食べてると、自然とそうなる。
ざらざらと薬を飲む。入院してから5錠も増えた。

7時45分、乾燥機を確認。洗い物はバスタオル・ハーフパンツ・下着類だけだが、
ポリエステルのハーフパンツ以外はまだ乾燥が足りない。
さらに100度数(100円)を追加。いけ乾燥機。すべてを乾かしてしまえ。
8時20分、乾燥終了。ほかほかだ。

ちらりと看護師さんの詰め所を見たら、忙しそうにいろいろ準備してた。
日中は8〜10人ほどの看護師さんがいる。
向かいのベッドの爺さんが、けっこう体が不自由らしく頻繁にナースコールで看護師さんを呼ぶ。
時間帯によってお世話をする看護師さんは違うのだが、
それは当然のことなんだけど、それぞれに個性があっておもしろい。
あと、病院内のヒエラルキーも垣間見える。
やっぱり、それぞれの資格取得の難易度に合わせた順位があるようだ。
看護師と外部のヘルパー(有資格者かどうかは不明)の会話を聞いていると、
そのへんが明らかに漂ってきたりする。

病室の窓から外を眺めていたら、綿毛というか羽毛のようなものが、
いくつも舞っているのが見えた。なんだろう。鳩の巣でもあるのか。ちなみに鳩は嫌いだ。
入院前からの足先のしびれがおさまらない。血糖の影響なのか、腰から来ているのかわからない。
いちおう看護師さんには伝えてあるが。少し手の指先にもしびれを感じる。
10時半、血圧測定。162の103。ちょい高め。

お隣にご家族が来ている。本日退院。木直(南茅部)の人らしい。
カーテン越しに会話を聞いていると、
どうやら地元の祭りに間に合うように退院したかったのだが、
それは「もう緒わっちまったよ」と言っていた。
たぶん奥さんの声だろう。いかにもな下海岸(正確には南茅部は陰海岸)言葉で、
録音して保存しておきたいくらいだった。
インタビュー記事を書くとき、なるべくそういった言葉の雰囲気を伝えようとするのだが、
やはり生の音にはかなわなくて悔しかったりする。
その点、テレビやラジオはストレートに伝えることができる。
しかし、あの業界にちょっと違和感を覚えてしまうのは、
取材対象者に同じことを何度か言わせること。リハーサルと称して。
放送上は「生」かも知れないが、声は「生」じゃないのではなかろうか。

看護師さんに、このブログはどこで読めるの? と聞かれたので名刺を渡す。
これで悪口を書けなくなった。書いてないけどさ。

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◆たしか小学4年生ころ、サバがバカみたいに豊漁で、毎日サバばかり食べていた。

11時45分、昼飯。
ご飯、サバ塩焼き、茄子味噌炒め、枝豆おろし、バナナ半分。
昨日の糖尿病教室で栄養士さんが「塩分はご飯をもっと食べたくなってしまうので控えめにしています。小袋のおしょうゆは5ml入っていますが、あれは使ってください、ということではありません。できれば使わずに、素材の味を楽しんでください」と言ってた。
うーん、そのわりに味付けがしょっぱい気がするんだよな。
俺が塩気よりダシを重視する口だからか。
ふだん食べないバナナも、これしかないので食べる。
エビとバナナは嫌いじゃないけど食べないのだ。いつもはね。
岩波新書に『バナナと日本人』『エビと日本人』という名著がある。

12時半、斜め向かいのご夫婦の会話。
明日退院だと話をしている。奥さんに、すぐ連絡しなさい、と叱られてた。
「おとうさんがたは車で行くでしょ。どこでもすぐに。でもおかあさんたちはバスに乗って帰ると、もう晩なんだわ。疲れちゃう。バスって、そんなもんなんだわ。」
ここ、函館中央病院ほど交通至便な場所にある病院はないだろう。
電車もバスも目の前を走り、真ん前で停車する。
そんな場所にあっても、不便さを感じる人たちはいるのである。
都市における公共交通の対策、
ましてや、加速度的な高齢化に直面しつつある函館では、
これほど重要なことはない。街ごと寝たきりになりたくなければ、だ。
 話が逸れるが、港町にある市立函館病院なんぞは陸の孤島である。
 交通弱者への対策ひとつなく、あの場所へ移転を決めた人たちの気が知れない。
 お隣の亀田港町の住民が言うのだから間違いない。

13時10分。
看護師さんに糖尿病の低血糖症状について小テストを受ける。
今朝、入院初日に渡されたプリントを見ておいて良かった。

NCVの一森さんから電話。「函館酒場寄港」のナレーション録りの件。
来週月曜日の夜に病院で録音することにした。
ついでに、病棟を取材しちゃえばいいんじゃない。無許可じゃまずいか。
入院の三日前に収録して、入院中に録音・編集し、退院翌日から放映となる。

14時、糖尿病教室。今日はフットケアのお話。
パワーポイントでつくったらしいレジュメがあるようだが、
それを映し出すパソコンやモニターやプロジェクターがないらしい。
たぶん、お話だけでは印象に残らないかも。

14時40分。今日はこれから外出。座布団を買ってこなくちゃ。
ずっとパイプイスに座っていたら、お尻のほっぺが痛くて。
リュックを背負って出かけようとした矢先に、Ws先生の回診。
「外は誘惑が多いですからね。」
同じことを二人の看護師さんにも言われた。信じてくださいよ。
たぶんですね、入院中の僕は至極真面目だと思います。問題は退院後なんです。
7回採血したときの結果を教えてくださいとお願いする。
あとでコピーしてくれるそうだ。ありがとうございます。

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◆緒川ラッシー。2002年生まれ。♀。姓は女優の緒川たまきから。

17時半には戻ると届け出をしたので、外出の時間制限は3時間弱。
事務所まで歩いた場合の所要時間がわからないので、
行きはタクシーを使うことにした。15時前に事務所着。
郵便物などを確認。停めておいた車に乗って自宅へ。やはり郵便物を確認。
亀田港町のイエローグローブで、低反発座布団を購入。1170円。
事務所に戻って、預けている亀(緒川ラッシー)と戯れる。
まだ16時ちょい。病院までは歩くことにする。
海岸町、大縄町、上新川町、中島町、千代台町、時任町、本町でゴール。
蒸し暑さもあって、けっこう汗だく。めまいが再発気味で少し足がふらついた。

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◆大縄町にて。午後12時ってのは深夜のことだとは思うが。ちょっと違和感。

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◆今日いちばんの誘惑。中島町にて。

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◆謎の看板。店先を覗いてみたが不明。知っている人はご一報を。
◆中島廉売の入り口付近にて。

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◆じゃあ、行きません。千代台町にて。ギネス飲みたし。

16時45分、病棟に戻る。
どうでしたと聞かれたら、「お腹一杯です」と言おうと思っていたが、
なんだか看護師さんは忙しそうだったので、とくに構ってもらえず。

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◆ディナー。肉じゃがには肉が入っていなかった。高望みはいけない。

17時40分、夕食。おもわず小声で歓声をあげる。
今日も肉だ。じゃがいもだ。こんなに贅沢しても良いのかしら。
どうやら夕食の量は間違ってはいないようだ。
たしかに少ない。でも、それなりの量は食べることができる。1840kcal万歳。

18時すぎ、和也さん来訪。
お茶ペットボトルと、なぜかタイガーマスク(マンガ本)を差し入れにいただく。
道新「港まつり」特集の記事資料をもらう。締め切りは日曜日。
病棟のロビーで、パソコンを2台ならべて打ち合わせ。
和也さんは8月1日に、中央病院で検診を受けるそうだ。お父さんだしね。
19時半、和也さんを見送り。

例のごとくブログの記事整理。
夜風が涼しい。今夜はちゃんとパンツをはいて寝ようと思う。

【7月11日、一部改訂】

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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