インターフェロン治療日記:2011年3月13日(考えごと/投与から006日)

3月13日(日)

C型慢性肝炎(インターフェロン治療)による入院7日目。

体重94.0kg。
体温35.6度。
血圧143の87。

日曜日なので、病棟はのんびり。
しかし、震災報道は日ごとに辛い状況を伝えている。
手の痒みあり。筋肉痛は漸減。

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◆朝は来る。

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◆08時03分/朝食:ご飯(180g)、卵とじ(ニラ)、和えもの(白菜)、味噌汁、のり。463kcal、タンパク質13.9g、塩分3.5g。

ツイッターでは、復興支援に関するつぶやきが増えてきた。
いますぐ現地へ行きたい、という人と、
いまはまだ時期尚早とアドバイスする人たち。
誰かが(国家でさえも)絶対的に正しい指針を出してくれるわけではない。
なにが正しいのか、わたしたちは自分で冷静に判断する必要がある。

たとえば、原発事故に対して、どんな判断をするべきか。
なにが起こっているかはわからない。
そして、事故に対して、ぼく個人がなにをできるわけでもない。
それでも、これは本を読む人種にならわかることであるが、
後日、事件や事故を検証することで、ようやくあらわれてくる事実がある。
かならず、ある。そういうものだ。
プラスとマイナス、表と裏、良い面と悪い面。それぞれにある。

もし、ぼくの妻や家族が、事故を起こした原発の近くにいたら、
避難区域から外れていたとしても、
やっぱりぼくは、事情が許す限り離れなさい、と伝えるだろう。
それが、心情だと思う。パニックではない。過剰な反応でもない。
しごく当然の気持ちじゃないだろうか。
  そんな必要がない、と断言できる判断材料も手段もないし、
  誰もなにも保証はしてくれないのだ。
たとえば、避難指示や避難勧告の圏域から外れているのだから、
避難の必要性はない、という考え方もある。
ぼくも、それでことがすめば、いちばん良いと思っている。
しかし、国や自治体は一度たりとも
圏域外の人たちに「避難してはいけない」とは言っていないのである。
みずから危険を感じ、必要を認めたら、避難しても良いのだ。
  自分が被災当時者であると仮定すると、また別の思考となる。
  そもそも、避難する手段を失っているかも知れないし、
  一片の情報さえ入らず、寒さと飢えにうろたえている可能性もあるし、
  その場にいることで役に立とうと決心することもあるだろうし、
  地元への愛着が避難を選択させないとも想像できる。

避難の必要はないという判断、それもまた尊重すべきだと思っている。
判断の基準も結論も、人それぞれであるのは、もっともなことだから。
言い争ってまで、そうではない、と伝えようとするのは不毛である。
後日、その人の判断が正しかったということもあるだろうし、
(それはむしろ、歓迎すべきことである)
そうではなかったと言って、ぼくが責任を取らされることもないだろう。

ただ、すこし怖いなと感じたのは、
このような不安を吐露したり、当然の心配を指摘することさえ、
「冷静になれ」「不安を煽るな」という言葉で押しつぶされそうになることだ。
そのような言説を声高に唱えてしまう人にこそ、
冷静になってほしいと思うのである。言わないけれども。

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◆12時31分/昼食:パン(2枚)、牛乳(180ml)、いちごジャム、鶏肉の香草焼き、おひたし(もやし)、チーズ、バナナ。622kcal、タンパク質25.8g、塩分2.3g。

昼食後は外出。
出がけにツイッターでおこなった発言に対して、
訂正を求める意見が来る。
それは誤解だ、と伝えるものの、意図は伝わらず。
根本から解決すべき問題と判断して、あわてて病院へ逆戻り。
あとは、3月13日に掲載した
ブログ記事「震災支援を目的とした献血と肝炎検査」の通り。

ぼくはあんまりプライドがないので、訂正するのも謝罪するのも平気だ。
ま、その結論を導くまでの間は、大いに胃が痛いわけだが。
主義や主張を言いつのるよりも、歩み寄って方向修正することで、
より正しくわかりやすい情報を発進できるのであれば、
そのほうが現実的なメリットがあると考えている。
ぼくの職業上の責任は、そこにあるとも感じている。
もちろん、自分の主張にも愛着はあるが、
ぼくがぜんぶ正しいという自信や過信なぞ1ミリも持っていないし。
いつでもわずかな間違いもしない、そんなに優れた人間ではない。

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◆18時15分/夕食:ご飯(180g)、味噌汁、鮭バター焼き、和えもの(三つ葉)、煮物。593kcal、タンパク質25.7g、塩分3.9g。

いろんなことを考えつつ就寝。
日記をつける気力がみなぎらず。ストレスは病気に悪いし。

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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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