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C型慢性肝炎(インターフェロン治療)による入院4日目。

6時ちょうど、起床。頭痛がひどい。
体温は37度。寝ている間は発熱しているらしい。
もうひと眠りする。
7時、起きあがってブログの更新。

体重測定95.4kg。昨日、便通あり。
退院までに93kgくらいまでは減るだろう。
適度な運動がしたい。

◆08時05分/朝食:ご飯(180g)、味噌汁(菜っ葉)、酢の物(きゅうり)、焼き魚(サバ)、なめこおろし、牛乳(180ml)。606kcal、タンパク質22.6g、塩分4.0g。

やっぱり頭が痛くて辛いので、
朝食後もベッドにもぐり込んで眠る。
副作用とかじゃなくて、単なる寝不足という線もある。
入院してからの方が、睡眠時間が短いような気もするし。

9時35分、血圧測定129の68。いつもより低め。
看護師さんに、頭痛、めまい、背・腰・首・胸の筋肉痛を伝える。
さりとて、湿布を貼りますか、と聞かれると、
なんだかそこまでじゃないような気がして遠慮してしまう。
それでも、けっこう痛いのだが。

本を読んでも頭に入らないし、
入院中のポリシーに反するが、今日は休日にする。
予定していた仕事は、まだいくつもあるが仕方あるまい。
ふだんでも頭痛がするときは、仕事さぼり気味だし。

11時ころ、看護師長の見まわり。頭痛とめまい、身体の痛みを伝える。
アマゾンから届いた荷物を渡される。(SONYの小型ラジオと書籍を購入した。)
「高山さん、ベッド移りましょうか?」
おおおおおおお、なんたる福音。
昨日の午後から今朝までベッドは空いていたが、
のぞみ薄とあきらめていたのに。
ありがたい、ありがたい。いっきに気分が晴れる。

人間と荷物が移動するのかと思ったら、
看護師さんが二人来て、ベッドと頭床台を移動させる。
余計な仕事を増やした感じで申し訳ない。
というわけで、念願の窓際ベッドを確保した。
やはり、眺めは良い。
眼下の街並みはなんてことはないのだが、
戸井の汐首岬、陽光輝く津軽海峡、
そして下北半島(大間崎)までくっきりと見渡せる。

しかも、これみてよ。

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◆12時32分/昼食:うどん(1玉?)、天ぷら(かぼちゃ)、サラダ(キャベツとチーズ)、バナナ。420kcal、タンパク質11.7g、塩分4.7g。

うどんである。麺類である。天ぷらである。
サラダにはチーズである。
素晴らしすぎる。
どんぶりに浮かぶ油膜を、遠慮無くすすりこむ。
ヤケドするくらい熱いものが好きなぼくには、
まったくものたりない温度だが、
俺は病人なのだ。これでいいのだ。七味を振りたい。
続けざまに、悪口じゃないけれど、こうるさいことを書いていたので、
がつんと喰らわされられた気分だ。もちろん、うれしい。
結局は食べ尽くすのだけど、
これはどれくらいのカロリーなんだろう、
カロリーオーバーしてるんじゃないかとも思う。
とにかく幸せである。


14時、主治医(さっちん)の回診。
開口一番に「あ、窓際を獲得したんですね」と。
めまい・頭痛・上半身の筋肉痛を伝えるも、
インターフェロンの副作用の可能性は低いという。
やっぱり引きこもっているからかしら。
散歩しても良いですか、と聞くと「もちろん」ということなので、
さっそく出かけることにする。

外出の申請書をもらうために、ナースステーションへ。
不審がられるも、主治医の許可をもらったので、と伝えると
医師に確認してみますとのこと。
ちょう先生が戻ってきて、「えー、散歩って外出ってことー?」
うーん、とうなった後で「ま、いいけどねー」と軽く許可。
いま、かなり適当でしたよね、と指摘しておく。
無理しないでね、と送り出された。

14時半、病院を出る。今回の制限時間は1時間半。
病院を出て最初に感じたのは「香」だった。
うまそうな香りが漂っていやがる。気のせいだろうが、酒の香りまでするようだ。
行啓通のゆるい坂を下りながら感じたのは「色」である。
病室ではテレビを観ていないので、
動く色と言えば、白いナース服と水色のパジャマくらいだ。
街には色とりどりの服を着た人たちが行き交い、
これまた色とりどりの自動車が走り去っていく。
「音」もそうだ。街の喧噪も、今日は心地良く頼もしく感じた。

風は冷たいが陽光は春の暖かみを湛えている。
亀田港町の自宅まで歩いて、自転車で戻ってこようかと思い歩を速める。
しかし、田家町あたりまで歩いてきたら、歩道に雪が残っているので、
今日のところは止めておくことにした。

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◆亀田川の五稜郭橋から。

みちのく銀行でお金をおろし、盲学校から教育大通りへ。
テーオーデパート4階のダイソー(100円ショップ)で洗面器を購入。
隣の書店で、ロードバイク(自転車)のカタログを購入した。
デパートを出て、並びのアルペンへ。
入り口すぐのところに自転車コーナーがある。
残念ながら、ここではお気に入りのメーカーの自転車は扱っていない。
さっきお金を引き出してしまったし、
この真っ赤なウェアが欲しいなぁと手を伸ばしかけるが、
いやいや、やっぱり自宅の近所にあるショップで買うべきだな。
いつも、ずいぶんとサービスしてもらっているし。
長谷川さんが購入したキャノンデール「BADBOY」も展示してあった。
カタログ写真も印象的だったが、
実車も強い存在感のあるシクロバイクだ。

店を出て病院へ向かう。
ベルクラシック前の歩道が、びっくりするような残雪。
たぶん、一日いっぱい日陰なんだろう。
堅く凍ったつるつるの路面は、
お盆過ぎまでそのままじゃなかろうかと思うくらいだ。
客商売だろうに。目の前の歩道の雪割りくらいしたらよかろうと思う。
ご立派な建物の影響で、いまだ雪が残っているのだし。
新郎新婦を祝福に来て、転んで足の骨を折るようなことがありませんように。

第一生命の前で、知り合いに遭遇。
大妻高校の2年生だった。「おう」と声をかけてすれ違う。
学校以外で会うと、ちょっと照れくさいもんだ。

15時50分、病院着。
1階のローソンでゼロコーラを購入していると、
副院長に声をかけられた。「だめだよ、ジュースを飲んじゃ」。
いやいや、これはゼロカロリーなのだ、と訂正を求める。
このブログの話になって、給食の件を聞いてみた。
やはり、五稜郭病院と同じ業者だという。
恐縮なことであるが、記事中でおこなったいくつかの提言は、
管理栄養士さんに伝えられたとのこと。
追々、中央病院は食事療法に秀でた病院になっていくかも知れない。

散歩に出かけて(ついでにベッドも移動して)すっかり気分は晴れたが、
やっぱり上半身の痛み、めまいは良くならない。
こいつが副作用かどうかを見きわめたいところだが。
もし副作用だとしても、だんだんと身体が慣れていくものなのか。
血流が悪いのかとも思い、ベッドの上で軽くストレッチなぞしてみる。

主治医が再訪して、リバビリン(レベトール)の説明書を置いていった。
「高山さん、こういうの好きでしょ」。さすが、わかってらっしゃる。
A4紙で15枚もある。仕事なら「テキストデータでください」ってところだ。
「劇」とか「警告」「禁忌」とか「慎重投与」などの文字が並ぶ。
いくつか、先生がアンダーラインを引いてくれていた。
精神神経系の副作用として「頭痛(86.0%)、めまい(5%以上)」、
神経・筋系には「筋肉痛(60.7%)、背部・腰部痛」とあるから、
インターフェロンではなく、リバビリンの副作用なのかも知れない。

ちょっと神経質になっているのかも知れないが、
ちなみに「神経過敏」も副作用だ。

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◆18時01分/夕食:ご飯(180g)、味噌汁(豆腐)、煮魚(ホッケ)、ナス(たぶん煮たやつ)、和え物(ちくわ)。575kcal、タンパク質27.1g、塩分3.7g。

本当に小料理屋に来たみたいだわ。
亀田港町「やえちゃん」に行きたい。
うずうずする。

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◆これも、退院後を見すえての食事(生活)訓練である。

つー、わけでキリン「オールフリー」を飲んでみる。
糖尿病での入院時よりも、食事・体重への緊張感がゆるい感じがする。
 もちろん、間食とかしていないけど。
 治療にマイナスな行為しない。せっかく俺の大好きなお金から、
 入院費用を泣く泣く捻出しているわけだし。そんな無駄はしない。
病院ローソンで売ってるんだもの。しかも、いまならローソンポイントがプラス20点。
さすがに酒類は販売していない。

味わうってのは、本当に大切なことである。
分量も少なく、アルコールも皆無であるが、
すっかりその気で、きっちりと満足をさせていただいた。

退院後も、できればたまに酒は飲みたいと思っているが、
インターフェロンの治療結果が出る48週間は、
基本的にこの食事法(擬似飲酒法)を極めていかなくちゃいけない。
たぶん、大丈夫だろうとは思っているが。
そのために、C型肝炎の治療を公表したのだし。

21時半就寝。
3時ころ起きて、携帯電話でツイッターのやりとり。
C型慢性肝炎(インターフェロン治療)による入院3日目。

5時55分、起床。悪くない目覚め。
体温は37度ちょうど。
昨夜ざっくり書いておいた入院2日目の日記を
書き足しつつまとめていく。

体重測定96.5kg。
入院前の「最後の暴食」が、まだ出てこない感じ。
便秘が続いている。
運動なしの23単位(1840kcal)だと、ほとんど痩せないんだよな。

血圧測定161の82。高め。
めまい、寒気、鼻の奥がつんとした感じ。

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◆08時01分/朝食:ご飯(180g)、味噌汁(たまねぎ)、もやし炒め(卵入り)、煮びたし(麩かな?)、牛乳(180ml)。597kcal、タンパク質18.4g、塩分2.6g。

こんなにしょっぱい味付けだったかなぁ。
もうちっと、だしを生かす系で勝負すりゃいいのに。
たしか、五稜郭病院と同じ給食業者なんだよね。
昨年、五稜郭病院に腎生検で二泊三日入院したときは、
あちらの食事に感心したもんだ。
なんだろ。一食の料金とか違うのかしら。
そう言えば、五病は病室でのパソコン使用がオッケーだったなぁ。
持ち込み料として、1日あたり32円かかるけど。

同室のお爺さんが、看護師さんに不調を訴えている。
「いや、こわいじゃ。」
これはわかる。函館あたりの言葉で、倦怠感がある、という意味だ。
「腹がにやにやする。」
こいつは、聞いたことあるけど、意味はよくわからない。
自分で使ったこともない。
雰囲気はわかるけど。吐き気がする、くらいの感覚だろうか。
今回はあんまり患者交流していないけど、
こういう言葉(仰々しく言うと文化の違い)と出会うのは楽しい。

そういや、一昨年の入院時に向かい合わせになって、
病気が治ったらラーメンをおごってくれる、と言っていたおじさんは、
正月あけ、黒枠広告に載ってしまった。
何度がご自宅に電話したが、ついに再会できなかったな。

10時、仕事道具一式を持って、病棟の真ん中にあるディルームに出勤。
テーブルをひとつ占領して出張デスクにする。
病室より落ち着かないが、まぁ、明るいからいいか。

ほどなく、主治医(さっちん)の回診。
本当に、まったくもって関係のないことだが、
ぼくがイスに座っていても、先生との目線はちょうどくらいだ。
そういう系のキャラが好きな人にはたまらないだろう。

閑話休題。
事前にまとめておいた質問をする。
 (1)ペグインターフェロンとリバビリンによる副作用の波について。
 (2)C型肝炎ウィルスの遺伝子検査(HCV-RNA)の数値。
 (3)インターフェロン感受性領域(遺伝子変異数)の検査について。
 (4)コアたんぱく70番目の検査について。
 (5)ぼくの「肝炎」の状態と要因の再確認。

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◆俺の肝臓。CT(造影剤あり)画像。2011年1月18日現在。
 主治医曰わく「本来、肝臓はもっと角がとがって写るのですが、
        高山さんのは丸みを帯びています。つまり、脂肪肝ですね。」
 外側の厚みがあって黒く写っている部分は皮下脂肪である。上が背中側。

(1)については、副作用の主因はペグインターフェロンで、
週一回の投与直後がいちばん影響が強く、ゆり戻しの可能性はあまりない。
毎日朝夕に内服しているリバビリンの影響は低い。

(2)は、検査数値をプリントアウトしてもらった。
後日改めて日記に書くが、きっちり難治性かつウィルス大盛を示していた。

(3)(4)は保険対象外ということで、検査していないとのこと。
これも詳細は後日に書く。

(5)については、ウィルス・酒・肥満の三要因であると。
やはり詳しくは後日に譲るが、
C型肝炎については、ウィルス感染だけが原因である。
肝炎(肝機能の障害)は、ウィルスと酒と肥満のそれぞれが、
複合的かつ個別的に影響を及ぼしている。
たしかに、まじめに糖尿病治療を取り組んでいた時期、
つまり酒量を減らし肥満を解消していった期間は、
肝機能の数値が改善した。その一方で、完全に正常値になることはなかった。
酒をやめても、やせ細っても、
C型肝炎が完治することはないのだ。
逆に言うと、ウィルスを排除できれば、
まぁ、大酒飲んでも激太りしても、とりあえずウィルス性肝炎は完治する。
でも、アルコール性肝炎・非アルコール性肝炎(nash/肥満要因)は治癒しない。
そういう関係性にある。

そんなことを話していた後で、11時45分に地震あり。
ひどいめまいかと思った。
けっこう大きく長く揺れていた。30秒くらいか。
函館は地震が少ないし、
ここは6階なので、ちょっと怖かったな。

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◆12時32分/昼食:ご飯(180g)、豚肉生姜焼き、大根の煮物、カボチャのポタージュ(?)、りんご。590kcal、タンパク質11.1g、塩分3.2g。

病棟に掲出されたメニューには
「米飯・中華スープ・かに玉・春雨サラダ・杏仁フルーツ」とあるから、
ぜんぜん内容が違う。
ただ、よく見ると前後二日くらいのメニューが、
振り替えで出ている感じがする。そういう法則なのか。
いずれにしろ、カロリー量(料理全体と皿単体)がきっちりわからないので、
やっぱり個別の「メニュー」をつくるべきだと思う。
それが、病院のサービスであり、病院の思いやりだろう。
手間だろうけど。それで患者は納得するし、治療への積極性を持てるのだから。

今日は男性が入浴できる日。
14時10分、おそらく一番風呂に入る。
浴槽のお湯はぬるめ。
自宅の浴槽の3つ分くらいの広さなので、
大きなぼくでも全身を伸ばして湯につかることができた。
浴室には昼間の陽光がまぶしく射し込む。
前回の入院は夏場だったので、この隔日入浴はきびしく感じた。
糖尿病患者の特権(?)である「フットケア」入浴を使って、
毎夕シャワーを浴びていたのは秘密である。
  重度の糖尿病患者は、末梢神経がおかされて
  小さなケガをしても気が付かない場合がままある。
  そのまま化膿して、最悪の場合には脚を切断となるのだ。
  それを防ぐために、足先を毎日洗うことを指導される。

15時、また窓際のベッドが空いた。胸がどきどきする。
ちょうど脈をとりにきた看護師さんに、
「あちらのベッドは、明るくて気持ち良さそうですね」と、
ごくごく遠慮がちにつぶやいてみる。
(実際、窓際は追加料金を取って良いくらい明るく、真ん中のベッドは暗い。)
困り顔で苦笑されつつ、看護師長さんに相談してみますね、と言われた。
ま、やっぱり、無理なんだろう。

道新小樽支局の倉さんから電話。
ブログを読んだらしい。
数年前、道新のホームページでブログの連載の仕事を
紹介してくれたのが倉さんだ。
あんまり書かずに、ずいぶん迷惑をかけちゃったけど。
あのとき病気に気が付いていたら、
もっと多くの人に読んでもらえる記事になったのにね。
退院したら、小樽でビールをおごってもらう約束をする。

熱も下がり、腰痛もなくなったが、
めまいと背中の痛み(張り)が悪化していく感じ。
めまいについては、メニエールを発症したときに苦しんだので、
本当に嫌な症状だ。

ちょっと用足しに一瞬だけ外へ出る。
寒い。
たまたま、裏手の駐車場の前を通ったら、
札幌ナンバーの普通乗用車が、バックでぶつけて金網を曲げていた。
スーツのふたり組だから、きっと製薬会社のプロパーなんだろう。

ついでに、病院向かいのインド料理店「アンビカ」に顔を出す。
開店前のお店に、マスクして坊主頭でずかずか入っていったので、
オーナーの渡部さんは、たぶん強盗だと思ったはずだ。
退院したら、自慢のタンドリーチキンを食べに行こう。

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◆18時04分/夕食:ご飯(180g)、味噌汁(ワカメ)、おかか煮(人参・ササゲ)、卵豆腐、焼き魚(たらの味噌漬け?)、大根おろし、パイナップル。551kcal、タンパク質27.9g、塩分3.8g。

お、だし巻き玉子があるじゃん。しかも、大根おろしまで。
こいつは居酒屋メニューだ。
思わず、病院1階のローソンで購入したキリン「オールフリー」を
(しかも新商品の500ml缶を販売していた)プシっと開けそうになった。
が、よくみたらパイナップルでやんの。
いや、たいへん甘くて美味しかったけどね。

食後、またディルームに移動して、
パソコンに向かってお仕事。日記ブログも書き継ぐ。
やっぱり、めまいがするので、今日は短めにこれくらい。

HTB「水曜どうでしょう」、復活第二夜なんだよなー。
携帯ワンセグで、こっそり観たいところだけど。
静かな病室で笑っちまいそうだし。

4時45分ころ起床。
どうしようか迷ったが、そのまま起きてしまう。
ちょっと寒い。
ブログの続きを書く。6時半に書き終える。

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◆効率的な除雪風景。ラインに沿って雪かきしている。

前回の入院では、窓から本町の飲食店街が見えて、
ちくしょうと思ったものだが、
今回は裏手(杉並町方面)に面しているので、いたって心おだやかである。
この病院の醍醐味を味わえなくて、ちょいと寂しい気もするが。

体重測定97.2kg。
昨日から便秘である。トイレが変わると、いつもそうだ。
旅から帰ると、びっくりするくらい出る。
とは言え、三日も詰まると物理的に押し出されてくるような
快便体質ではあるのだが。

血圧測定132の76。俺にしては上々。
今日は初日ということで、
なるべくベッドの上でおとなしくしているつもりだ。

◆08時02分/朝食:ご飯(180g)、納豆(ねぎ少量)、すまし汁(たまご)、ササゲの煮物、牛乳(180ml)。594kcal、タンパク質21.8g、塩分4.5g

正直、納豆くさい。
ベッドはカーテンで仕切られているのだが、
納豆臭(好きなんだけどね)がこもってしまった。
ねぎってのは偉いね。ほんのちょっとで、ずいぶんな存在感だ。


今日から治療が始まる。
主治医にも言われたように、副作用はおもに発熱だが、
それがどれくらいの期間と程度でおこるのかは、
投与してみないとわからない。

8時45分、
はじめてのリバビリン(レベトール)服用。
なんとなく飲むのがこわくて、食後30分ほど逡巡してしまった。
飲んでしまえば、とりあえずはナンテコトなし。

最新のC型肝炎の治療では、
インターフェロン・ペグインターフェロン・リバビリンという薬が使用される。
ウィルス量が少ないと、
インターフェロンやペグインターフェロンの単独投与となる。
しかし、ぼくは遺伝子型が1b(難治性)と分類され、
さらにウィルス量も多いので(これは日本人のC型肝炎患者の70%だそうだ)、
ペグインターフェロンとリバビリンの併用投与となった。
期間は最長の48週間である。

ペグインターフェロンは注射によって投与されるので、
退院後も毎週1回病院へ通い、
そのつど採血して身体の状態を確認しながら続けていく。

ペグインターフェロンは、インターフェロンの改良版。
かんたんに言うと、インターフェロンにくらべて、
より長く体内に止まる(つまり長く効く)ように改善し、
そのことで副作用と手間を抑えることができる薬だ。

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◆これっぽっち。50ccだったかな。皮下注射で、ちょいチク。
 ちゃんと撮影許可を得ています。前回は勝手に撮って嫌がられたので。

リバビリン(レベドールは商品名)は、
朝食後2錠・夕食後3錠を経口で投与する内服薬だ。
抗ウィルス薬として、ペグインターフェロンの効果を高めるのが役割。
これ単体ではウィルス排除の効果はない。
副作用としては溶血性貧血(赤血球が壊れる)があり、
治療中に貧血が進行した場合は、リバビリンの投与は中止される。
そして、もうひとつの副作用。
これは、薬袋に入っていた
「服用に際する避妊のお願い!」という説明書から引用しよう。

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抜粋すると下記の通り。

「妊婦または妊娠している可能性のある婦人は、このお薬を服用できません。」
「患者さんは、服用中と服用後6カ月間は避妊してください。また、毎月1回妊娠検査を受けてください。」
「パートナーが妊婦の男性患者さんは、コンドームを使ってください。」
「妊娠が判明した場合は、すぐに主治医にご相談ください。」

影響としては、
「動物実験では強い催奇形性(胎児になんらかの異常が現れる)があることがわかっています。人間でも胎児に影響を与える可能性が考えられる」(榎本信幸著『C型肝炎 正しい治療がわかる本』法研、88pより)
と関連書籍などで説明されている。
事前にあった主治医からの説明も同様である。

妻にはすまないと思っている。


11時50分、いつもと違うトーンで名前を呼ばれて、
もしや、とふり向くと、やっぱり鋭そうな看護師さんが立っていた。
とくに自己紹介はなかったが、おそらく病棟の看護師長だろう。
パソコンをぎっとにらまれて、「それはネットに接続しているんですか?」。
そうです。おもに仕事で...と言いかけるものの、
「病室でのパソコン使用はお控えください。
 デイルーム(病棟の真ん中にある談話スペース)で使えますので。」
と、ぴしゃり。それが、この病院のルールであるから、
そりゃそうだ、と謝罪。おどけてみせるも、笑いはとれず。

「パソコンを使う音(キーボードの打鍵音)が、
 まわりの患者様のご迷惑になりますので。」
Macのノートパソコンは、そんな下品な音はしないと、
言いたかったけど、それはやめておいた。
 がやがやと見舞客が来て、しゃべっている方が騒音レベルは高いと思うが。
 でも、みんなの会話を聞いているのは、たいへん興味深くておもしろい。
 まぁ、音として別ものということか。

「注射と熱はどうですか?」と聞かれて、
「注射は9時43分に、熱は11時22分で34.98℃です。」と答えると、
ようやく少し笑ってもらえた。

今回は院長・副院長カードの効果が低いようである。

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◆12時33分/昼食:ご飯(180g)、ホウレン草おひたし、筑前煮(鶏肉)、酢の物(キュウリとワカメ)、ちくわ炒め(カレー味)。556kcal、タンパク質24.1g、塩分3.9g

この筑前煮がすごい。鶏肉が4切れも入っている。
昨日の鶏肉パン粉焼きもふくめて、
ずいぶんと歓迎メニューじゃないか。
やっぱり、ご飯(お米)の量が多いような気がするなぁ。
ふだんは100g〜150g(2単位160kcal〜3単位240kcal)にして、
野菜とおかずの増量作戦なので。

ただ、お米は腹持ちがいいね。
決まった時間に食事をするから、いつも感じている空腹感・飢餓感を
まったく感じないでいる。
だから、どか食いもしない。できない。
まさに、食事療法って感じだ。
これを日常生活で続けると、結果として食費効率があがって、
家計を助けることになるんじゃないだろうか。
みんな、お米を食べよう。地元のお米「函館育ち ふっくりんこ」を。
以上、田んぼ記者からのお願いでした。


廊下に掲示してあるメニューと、
俺が実際に食べている食事は1〜2品ほど違うようだ

今日の朝食だと「生姜和え」「昆布佃煮」のかわりに、
「すまし汁」と「ササゲの煮物」が出ている。これは塩分抑制か。
昼食は「金時豆」のかわりに「ちくわ炒め」と「酢の物」となっている。
こちらはカロリーの抑制か。
いずれにしろ、個別のメニュー表があると、もっと合格点だな。
成分表に「脂質」もあると良いのに。
外館さん、よろしくご検討を。


16時、となりの空きベッドまわりが騒がしくなって、
どうやら入院患者が入るらしい。
ひじょうにがっかり。
期待しなければ良かった。
ストレスは薬の効果をいちじるしく低減させるということなので、
なるべく早く淡い期待は忘れることにしよう。

ブログやツイッターへの反応が届き始める。
やっぱり嬉しいし、励みになる。

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◆18時11分/夕食:ご飯(180g)、カレーライス(豚肉・たまねぎ・人参・じゃがいも)、コンソメスープ(白菜・コーン)、サラダ(たまねぎ・糸こんにゃく?)、バナナ。700kcal、タンパク質16.5g、塩分2.6g

カレーが出た。びっくり。
カレーは飲み物である、という至言があるが、
飲んでしまうのはもったいないので、ゆっくりと味わう。
ぜんぜん辛くないけど、それなりにスパイシー。
ハバネロ唐辛子(辛さ3倍)とガラムマサラを忍ばせてくれば良かった。
刺激物は基本禁止。
コンソメスープは、まぁ、ひどかったですな。
シチューにしたら、さぞうまかろう。


ぼくの意中の窓際ベッドをゲットした患者は、
どうやら、ぼくの母親と同じ年齢らしい。
突然の入院だったようだし、
ま、遠回しの親孝行だと思って、窓際ベッドを譲ってやることにする。


ここで体温の推移を見てみよう。

 07時05分  35.2℃
   ペグインターフェロンとリバビリンを投与。
 10時12分  35.3℃
 11時22分  34.9℃
 12時07分  34.8℃
 13時07分  34.9℃
 14時17分  35.8℃
 15時31分  36.1℃
 16時48分  36.3℃
 17時36分  36.6℃
   腰の筋肉が痛み出してきた。
   あ、風邪かも。というときの身体がふわふわした感じ。
 18時06分  36.9℃
 19時00分  37.7℃
 19時15分  37.8℃
   倦怠感が目立つ。ほほが熱い。
   ふだんでも、今日は早めに寝ようか、という感覚か。
 19時30分  37.8℃
 20時01分  37.9℃
   ベッドに入って、ツイッターでみんなとやりとり。
   一気にツイート数が増えて、いつのまにか集中していたらしい。
   汗をかく。
 21時15分  37.49℃
   熱下がる。ツイート効果か。

ここでナースステーションに行き、
どのタイミングで解熱剤を使うか質問。
にこっと笑われて、「38℃です。」との返事。
惜しい。

どのくらいで収まるのかなぁ。

就寝前に奥尻島にいる妻へ電話。
あいつは小学生のお母さんたちに、
ダンスを教えていたらしい。

やっぱり体調が優れないので早めに就寝。

いきなり叩きつけられた挑戦状を読みながら、
泣き笑いしつつ眠る。
本当にありがたいことだ。
C型慢性肝炎(インターフェロン治療)による入院1日目。

土日をかけて部屋の掃除をしつつ、入院のための荷づくり。
けっきょく、いくつかの仕事は病室へ持ち込むことになった。
大荷物だ。こんなの持ったら、背中が折れるかもしれない。

7時半、妻からの電話で起床。
3日の卒業式に、生徒たちからいただいた花束は、
吊り下げてドライフラワーに。
緒川ラッシー(亀)は、まだ半分冬眠しているので、
妻と相談して部屋で留守番させることにした。
今朝も、がたがたと騒がしいが、エサは食べない。

10時すこし前に、函館中央病院の入院受付へ。
病棟から迎えに来たスタッフが、
登山家のようなリュックと両手一杯の荷物を見て、
「お持ちしましょうか」と驚いている。
ご親切はありがたいが、
(おそらく)年上の女性に重い荷物を持たせるわけにはいかない。
書籍やパソコンやらで、かなり重いのだ。

病室は6人部屋。真ん中のベッドに案内される。
前回(2009年7月の糖尿病教育入院)も6人部屋だったが、
窓際を占領できたので、今回はすこし窮屈に感じる。
そう言えば、案内表示板に「無菌病棟」と書いてあった。
なんか違うのかな。

大量の荷物を、ベッドの下にある物入れや
床頭台(棚と引出とテレビと冷蔵庫とロッカーが一体化したもの)にしまう。
例によって、ものかき工房支局のできあがりである。
前回は少しずつ事務所から運んできたが、
そのときの経験がきっちり役立つ。まぁ、役立っても仕方ない部類だが。

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◆入院前に集めておいた関連書籍。近年出版されたもので、一般で入手可能なものはだいたい揃っているはず(患者の書いた闘病記は除く)。一冊ずつ日記で紹介していくつもりだ。

看護師さんが来て問診。
「ちょっとだけ、いろいろお聞きします。」と言われた。
どっちなんだよ。
体重97.6kg(増えたナー)、身長178.5cm(なぜか1cmくらい伸びてる)。
今後、公称身長を179cmにしよう。
血圧は140の90。

廊下側の隣のベッドが空いていたので、
看護師さんに、そっちには移動できないんですかね、と聞いてみると、
午後から入院予定のお爺さんがいるとのこと。
「高山さんは若いから真ん中に」。
なんとなく納得。病気の時は従順なのだ。
でも、窓側が空いたら、移動できるように図ってもらえるとのこと。
ありがたい。やっぱり、外の風景は気晴らしになるんだよね。

看護師さんには「面会謝絶」もお願いした。
明日からはインターフェロンの投与で、
とりあえず確実な副作用として高熱に悩まされることになる。
糖尿病での入院時は、続々と来るお見舞い客が適度なヒマつぶしになったが、
今回はベッドに寝ころんでいる可能性が高いので、
あんまりそういう姿を晒したくない。というわけで、面会謝絶。
正面受付でぼくの病室を聞いても「面会謝絶です」と言われるはずだ。
退院までに、自分で試してみようと思う。

前回は病衣(病院から借りる寝間着)を着ることに抵抗したが、
このたびはすんなり着用。病室が暑いもんで。
それでも、検査のために病棟から外来スペースを
通り抜けていくのには抵抗があるので、ジーンズとTシャツに着替える。
レントゲン室から戻ってきたら昼めしどきに。

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◆12時32分/昼食:ご飯(180g)、鶏肉のパン粉焼き、ハムとアスパラとビーフンのなんか、サラダ(キャベツとコーン)、オレンジ(半分)。636kcal、タンパク質24.2g、塩分2.0g

午後になって、同室のご近所さんたちに家族やお見舞い客が来る。
聞くとはなしに、病気話や世間話を聴きながら、とりあえず仕事をする。
胃ガンと胆石について、すこし詳しくなる。

同室者と一緒に心電図を計測に行く。
「ぼくは肉厚だからですかね。病室が暑くて。」
と話しかけたら、「ま、若いからだろ」と言われた。
それをきっかえに、入院患者的ルールとして、
きっちり病気話を聞かせていただく。
20年近く2型糖尿病でインシュリンを投与しているらしい。
今回は別の病気での手術のために入院したとのこと。
「早めに風呂に入ってしまいなよ」と、病室先輩からのアドバイス。

家から持ち込めなかったものを、
病院1階にあるローソンで購入。箱ティッシュとゴミ箱と烏龍茶。
つくづく便利な病院である。
銀行ATM(みちのく銀・北洋銀)はあるし、
ドトールコーヒーはあるし、
ローソンでは焼きたてパンまで購入できる。
なんなら、すっと丸井さんまで出かけて、
帰りがけに一杯やることも不可能ではない。しないけど。

16時前、主治医が顔を出す。
病衣を来ていなかったので「ふつうの格好してますね」と言われた。
明日からのインターフェロンとリバビリンによる治療の説明。
何度も聞いたし、書籍でもたっぷり予習済みではあるが。
「副作用は様々ですが、多くの場合は熱が上がります。
 これは薬で下げるしかありませんので。
 どれくらい続くかは個人差です。」
主治医とは、2009年6月からのお付き合いだ。
このぼくの糖尿病(ヘモグロビンA1c 12.8%)を、
ここまで回復(ヘモグロビンA1c 5.5%)させた名医である。
今月末で退職というのが、つくづく残念だ。
C型肝炎の治療についても、
主治医のもとでなら大丈夫だろうと判断した部分もあった。
患者への情報提供を面倒がらず、
ぼくが職業的クセでしつこく質問しても、きっちり回答を提示してくれた。
ざくっと叱るし、ほろっと褒めるし、ツンデレっぽいところも好印象だった。
次の主治医とも、同じような関係を築くことができれば幸せだ。

まやまやしているうちに晩ご飯。

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◆18時05分/夕食:ご飯(180gより多いか?)、味噌汁(たまねぎ)、焼き魚(ホッケ)、煮物(絹ごし豆腐)、からし菜の和え物、キウイ。569kcal、たんぱく質21.3g、塩分3.1g。

田んぼ記者である俺の発言としてはぎりぎりだが、
一日でこんなにご飯(お米)を食べるのは久しぶり。
ここしばらくは、おかずばっかり食べてしまう傾向にあったので。
もしくはラーメンばかり。たぶん、いや絶対に塩分過多だったはず。
これで一日23単位(1840kcal)なんだよな。
少なくは感じない。以前の入院時よりも、料理がおいしくなった気がする。
気のせいかも知れないけど。

ナースステーション前の壁に、
摂取カロリーや成分が記載された献立表(1週間分)が張り出されていた。
これは大進歩だ。たしか、2年前にはなかったはず。
昨年、函館五稜郭病院に検査入院した際、
食事トレーに、メニューと栄養成分が書かれた札が添えられていて、
これは素晴らしいと思っていたからだ。
食事も重要な治療のひとつであるから、
退院後の参考になるこのような取り組み(情報提供)は大切である。
ついでに、病院のサイトなんかで、公開・蓄積していけば良いのに。

つつがない夕食後、「デザインルーム・オバタ」の和也さんから電話。
正面1階のロビーで待ち合わせて、
進行中の仕事(日本海フットパス)の打ち合わせ。
明日から数日は、こういうわけにはいかないだろう。
道新のみなさんが、退院打ち上げをご用意しているということなので、
がぜん楽しみになった。

病室に戻り、ブログに掲載する文章を書く。
思いのほか長文になってしまった。
この記事をもって、いちおう病気について公開となる。
治療の開始宣言でもある。

引き続き、入院初日の日記を書く。
書き始めたところで消灯となったが、じわっとこっそり書き続ける。
が、23時ころあきらめて就寝。

あっ、ツイッターを通じて、いくつか励ましをいただきました。
ありがとうございます。それなり真面目に治療していきます。
そうだ。これはもう、しめしめだ。
そう思うことにしよう。
自分がC型肝炎ウィルスに感染していることを知ったとき、
少なからぬショックを受けると同時に、ぼくはそんなことを考えていた。

というわけで、今日からC型肝炎の治療を始めます。
現状、ぼくはC型肝炎ウィルスのキャリアから一歩進んでいて、
病名として「C型慢性肝炎」と診断されています。
おもな症状は肝機能異常。
ずーっと肝臓の数値が悪かったのは、大酒だけのせいじゃなかったわけ。
 いま、多くの人が「おまえは酒だろ。ほとんど。」とつぶやいた気もするが、
 さっぱり聞こえなかったことにする。

C型肝炎ウィルスに感染すると、最終的には肝臓ガンを発症する。
こいつは避けることができない。
ウィルスを排除できれば、その可能性は大幅に減少する。
そのための治療として、インターフェロンの投与がおこなわれている。

治療を始めるかどうか。
こんなぼくでも、珍しく半年ほど悩んだ。というか、迷った。
そのへんのことをふくめて、
詳しくはこの日記で追々書いていくつもりだが、
その要因のひとつとしてインターフェロン治療の副作用がある。

風邪やインフルエンザと同じである。
インターフェロンがウィルスをやっつける副作用(症状)として、
まずは高熱が出る。頭痛や関節痛も多く見られる。
これは治療初期に目立つが、身体が慣れていくとおさまっていく。
そのために、インターフェロン治療を始める場合は、
最初の2週間ほど入院して様子を見るのが基本となっている。

ぼくの場合、ウィルスの遺伝子を検査した結果、
難治性のC型肝炎であることが判明したので、治療は50週間続く。
インターフェロンの投与を重ねるうちに、頭髪の脱毛もおこる。
ま、これはぼくには関係ないけどね。

ごくまれであるが、肺炎・脳出血・脳梗塞がおこる可能性もある。
そして、ぼくがなによりも恐れているのは、鬱(うつ)症状の発症だ。
ふだん無神経で厚顔無恥な暮らしをしているだけに、
ぼくに鬱への耐性が備わっているか、たいへん不安だ。
治療を始める決断はしたが、この不安は解消されていない。
酒でも飲んで憂さを晴らせばよいのだろうか。
しかし、病気治療において、気分の浮き沈みはよくあることでもある。
糖尿病の治療でも、それは経験している。
ぼくは「書く」ことで、
こころのバランスを取れるのではないかと思ってはいる。

治療を迷った理由は、もうひとつある。
それは、まさに「C型肝炎」であるからだ。
これは(日常生活において、その可能性は低いが)感染する病気である。
お恥ずかしいことだが、ぼく自身がそうであったように、
この病気へのイメージは良くない。悪い。
きっと、そういう「目」のなかで、苦しんできた患者が大勢いるだろう。
治療するからには、ぼくは糖尿病のときと同じように、
なんらかの形で記録し公開するつもりだった。
転んでも、ただで起きるのはイヤだし。
でも、公言する覚悟みたいなものを、じくじくと迷っていたのだ。

とは言え、
この病気と「闘う」なんてつもりは毛頭無い。ついでに、毛根もないけど。
現代に生まれたことに感謝しながら、
最先端の医学の助けを借りて、この病気と向き合っていきたいと思っている。

もちろん、医師と投薬に任せっきりにするつもりもない。
それで完治できるほど、お気軽なものではないことも知っている。
患者としてのぼくに課せられた役割は、
体力を維持して増強すること、
そして食生活(というより、おもに酒生活)の改善だ。
あとは飽きずにあきらめずに続けること。

そこで、しめしめである。
ものかき(職業ライター)としては、
この病気と治療の様子について書き残すことが使命だと(勝手に)感じている。
治療の結果・結末とは別に、
自分自身がどんな文章を書きつづるのか楽しみでもあるのだ。

糖尿病の治療でも強く思ったことだが、
治せる病気を「こわい」とか「めんどう」とか「いそがしい」とか、
そんな理由で先送りしてしまうのは、もったいないことだ。
いま30代後半から上の人間は、かつて日常生活において
C型肝炎ウィルスに感染する可能性があったことを否定できない。
(このへんの事情も、後日の日記でふれていく予定だ。)
まずは、かるく血を抜くだけ。保健所での検査は無料である。
自覚症状や肝臓数値の変化がなくても、
あらためて肝炎ウィルスの抗体検査を受けることを強くおすすめする。


病気の詳細については、ごく一部の人にだけお伝えしていました。
多くの人にお知らせできなかったことを、この場でお詫び申し上げます。
また、この病気についてご理解と応援をいただいた関係者に深く感謝します。
 ・函館大妻高等学校の池田延己校長先生。
 ・函館市女性センターの原田恵理子館長。
 ・青函フェリー、共栄運輸株式会社の北村隆社長。
 ・デザインルーム オバタの小畠和也さん。
 ・「代わりはいませんから」と番組休止をこころよく許していただいた
  NCV(ニューメディア函館)のみなさま。
本当にありがとうございます。

あともうひとつ。
妻・郁子が感染していなかったことは、
ぼくにとってなにより幸せなことであった。

どんな因果か、ぼくの身体にたどり着いたウィルス。
C型肝炎とは、どんな病気なのか。
なぜ、ぼくは感染したのか。
そのことを、このブログでゆっくりと検証していくつもりだ。
そういうわけで、「問う病日記」という副題をあらためてつけた。
わかりにくいか。まぁ、勘弁してよ。
では、またあとで。


2011年3月7日
これからもうまい酒を呑むために、
函館中央病院の病室にて。
高山 潤
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プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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