糖尿病【入院】日記の最近のブログ記事

腎生検による検査入院、初日の続き。

14時半、病棟2階まで降りてレントゲンと心電図の検査。
どちらの技師からも「入院中ですよね?」と確認される。
寝間着(病衣)じゃないからだろう。
ちなみに、病衣はレンタルで1日70円。LLサイズにした。

ノートパソコンを移動式のテーブルに置いて、
ベッドに座って仕事することにした。これは良い。
これだと、お尻がかなり楽だ。坐骨神経痛にはパイプイスは辛い。
中央病院では貸してもらえなかったんだよね。
ま、仕事したいから、なんてのは病院の備品を借りる理由にならないけど。

退院直後に〆切が控えている道新「葬儀特集」の下調べ。
病棟にあるロビーから、納棺師に取材アポイントを入れる電話。
ちょうど仕事に取りかかるところのなで、後ほど折り返す、と言われた。
入院中なので、とは言えないので留守電への伝言を頼む。
なんとなく、複雑な気分になる電話だ。


16時前、腎臓内科の担当医師が来る。あれ、女性だ。
外来の先生と違う。理由を尋ねたら、入院中はチーム制なんだそうだ。
痛みについて質問。
「個人差ですが、泣きうめくほどの患者さんはいませんでしたよ」と。
医師と言えども、すべての検査を経験しているわけじゃないんだよね。
詳しくは検査担当の泌尿器の先生に聞いて、とのこと。
むかし、「新しい単位」とかいうテレビ番組で、
痛みの統一単位「hanage」ってのがあった。
鼻毛を抜く痛みを1として算出する。
医師に「鼻毛を抜くのと比べたら、どれくらい痛いですか?」
と聞いたら、冷たく笑ってわかりませんと言われた。気持ち良い。
鼻毛を抜くのが趣味なので、鼻毛の痛みには耐性がある。

ちょうど、前回の糖尿病入院のころから、
下半身の痛みや痺れが気になりだした。
最初は、入院中にパイプイスに座って仕事しすぎたのが原因かと思っていた。
かなりの頻度で整体に通ってみたが、症状は改善しない。
そんなわけで、10月くらいに函館中央病院の整形で診察を受けた。
以前、たまたま病院内で橋本院長(整形が専門)とすれ違ったとき、
坐骨神経痛が辛くて、と言ったら、診察に来なさいと言われていた。
  院長は飲酒番組の視聴者なのだ。
で、レントゲンとかMRIを撮影して、ようやく原因が特定された。
胸椎後縦靱帯骨化症・胸椎黄色靱帯骨化症。OPLL。
病気が進むと特定疾患(いわゆる難病。公費負担医療)となる。
とにかく、僕の場合は寝転がる姿勢になると、
両足首から下が猛烈に痛む。ふだんも痺れている。

明日、手術後は腎臓の止血(寝っ転がって圧迫することで止血)のために、
仰向けで絶対安静にしてなくちゃいけない。
24時間も。こいつは辛い。
自由に姿勢を変えられる普段でも、ひどい時は痛みで眠れないからね。
医師に、その点について相談。
あるていど身を起こすことは可能だと言われる。
痛みがひどい時には、痛み止めを投与できるそうだ。
ちょっと、痛み止めの効果を体験してみたい気もする。


16時ころ、病院の薬剤師が薬の説明に来る。
だいぶ分厚くなった自分の病歴ファイルを取り出して、
調剤薬局からもらって保存している薬の説明紙のページを開くと、
「高山さんは薬の勉強もされているようで」とお愛想をもらう。
というわけで、通り一遍の説明ではなく、
もう少し薬が効くメカニズム的なことも説明してもらった。

αグルコシダーゼ阻害剤(食後の高血糖状態を抑える薬)である
ベイスンOD(ジェネリックだとボグリボースOD)の説明がおもしろかった。
「これ、すっごくオナラが出るんですよね」と話をふると、
そうなんですよ、と食い付いてくる。
この副作用は、薬が効いている証拠なんだと、初めて知った。
なるほどなるほど。
「どれくらいオナラ出ますか? すごく興味があります。」
素晴らしき職業意識。
男性にオナラの回数で言い寄られるとは思ってもみなかったが。


17時、検査(針を刺す)担当の医師による面談。
明日は10時半くらいになりそうだ。
口頭と文書による検査(医師は手術と言っていた)のリスク説明。
やっぱり、痛みについての質問をしてしまう。
「皮膚は5ミリほど切開します。
 そこから針を刺し、腎臓から4本ほどの組織を採取します。
 腎臓に針を刺すときに、痛みを覚えるようです。」
「けっこう痛いですか?」
「うーん。痛いというか、押される感じと表現する人が多いですね。」
ううううううう。もう覚悟しなくちゃ。
俺はぜったいに出産できねーな。ほんと。
でも、それなりのお金を払うんだ。
しっかり検査していただいて、はっきり腎臓の状態を調べてもらおう。
はぁ。それにしても、糖尿病発覚以来、ずいぶんと体に投資してるなぁ。
ちゃんと回収しなくちゃ。


隣のベッドのおじさんが、しきりにメジャーで病室内を計測していた。
入り口の広さや高さ、ベッドの間隔とか、ひとしきり測っていた。
なんだろ。そういう仕事の人なのか。
まぁ、こちらも一日中、病人らしくない格好で、
パソコンをべったり抱きかかえてるんだから、不思議さでは引き分けか。
そのおじさんがカーテンを少しめくって、
「これどうやんだべ。若いもんならわかるべ」と声をかけてくる。
手に握った携帯電話を渡される。画面を見ると、EZアプリが起動されかけてた。
「これは切るのボタンを押せばいいんですよ」とポチ。
入院病棟では、患者同士のコミュニケーションは大切。
いちど会話しておけば、小さな物音レベルではイライラしなくなる。

患者と看護師の会話に笑ってしまう。
「痛み止めをもっと大っきなやつにしてくれや。」
「効き目は大きさ関係ないから。」
「あんまり効きすぎれば、明日起きないんでないべか。」
「大丈夫ですよ。ちゃんと起こしますから。」
「そのまんま、上の方にいっちまうべ。」
「心電図も付けてますから、大丈夫です。」
悲壮感がありつつ、でも笑える会話。看護師さんの訛りが良かった。

やっぱり、日が長くなったなぁ。
18時、夕飯。

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◆ご飯(180g) 鶏から揚げ 大根の酢の物 からし菜和え ゼリー
◆702kcal タンパク質14.9g 脂質17.0g 塩分0.9g

から揚げ。極小が2個だけど、嬉しい。ゆっくり味わう。
ご飯が多い。ふだんは150g(3単位240kcal)なので、たっぷり感あり。
まだ、三食ぜんぶを食べていないから断定できないけど、
同じ社会福祉法人が運営する函館中央病院と五稜郭病院だけど、
食事内容の方針が違うのかもね。
中央病院では、おかずの量(または品目)が多かった印象。
五稜郭病院では、お米をしっかりたべて、おかずからの塩分摂取を控える作戦か。
もしかすると、僕の食事が塩分軽減メニューになってるからかも知れないが。
ゼリーは150kcalもあった。残して冷蔵庫へ。


夕食後、ばたばたと電話。病室とロビーを行ったり来たり。
寝間着に着替える。楽だな。

19時ころ、病棟の看護師長が来る。
「はじめまして。●●です。今日一日、なにか不安に感じたこと、
 聞き忘れたことなどありますか?」
丁寧な看護だ。
そうだ。たしかに、聞き忘れていたことがあった。
「手術後の排尿と排便はどうするんでしょうか?」
カテーテルとかイヤだな。
「尿は尿器(尿瓶だろう)にしていただきます。
 ご自分でも良いですし、私たちが介助することもできます。」
いやーん。思わず手で顔をふさぐ。
「排便は落ち着かないと思いますが、
 ベッドの上で便器を差し込んでお願いします。」
あー、そっかー。24時間だとガマンしきれんよなぁ。
「心配ですよねぇ。医師と相談の上で、
 排便の際だけトイレまで車イスで移動できる場合もありますので。」
「あっ、それ強烈にプッシュしてください。」
「わかりましたよ。」

いや、些細なことだけどね。あらためて、人の尊厳とか考えたり。
健康が一番だ。いろんな方面で。

携帯電話の専用イヤホンを忘れてきちゃった。
ワンセグでテレビを見ようと思ってたのに。失敗した。
テレビカードを買うのもしゃくなので、早く横になることにする。
明日はブログを更新できないかも知れないので。
続きは、たぶんツイッターで。
手術中とか実況できないかな。俺の不安と痛みを感染させてやる!
迷惑? ですね。

そういや、ツイッターついでに。
今日の午前中、函館のタウン誌「JAM」の編集者が、
来月号(3/20発行)からフリーマガジンになる、とつぶやいていた。
英断であり、正解だと思う。
「紙」という媒体を(延命ではなく)きちんと活き(生き)残し、
かつ今以上に楽しくやっていこうという決意。
「JAM」の進路には未来が見える。
硬直化しない思考と小回りのきいた決断に拍手。

昨夜は、なんとなく修学旅行の前の日気分だった。

バレンタインにチョコをもらったのは小学2年生が初めてだ。
ここ数年、毎年きっちりチョコを贈ってくれるのは、
唯一、義理のお母さんのみである。妻からだってもらってないのに。
ただ、毎年だんだんヒネったチョコになってきた。

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◆薩摩焼酎チョコ。日本酒&梅酒ボンボンもいただいた。。

明日から入院だし、ぜんぶ食べちゃう。
いい気味だ。
鼻血も出さずに、26時ころ就寝。


【入院日記リターンズ】

妻の電話で起床。体重89.3kg。
ここしばらく自宅に籠もっていたので、少し多めの体重。
チョコも食べたしな。
朝食は食パン1枚とキャベツの千切り。麦茶。

10時、相互タクシーを呼んで函館五稜郭病院へ。
移動中、取材のアポイントを取るために、葬儀社へ電話。
これから入院なので水曜日の夕方以降でご都合ありますか、と聞くと
社長に「なんだ。飲み過ぎで入院か?」と笑われる。
飲酒番組を見ているそうだ。おそるべしNCV。
退院予定直後の夕方にアポイントを取る。
運賃1490円。ちなみに、タクシー代は医療費控除されない。

10時20分、五稜郭病院で入院受付。
受付の男性に、「いつも見てますよ」と耳打ちされる。
げにおそるべきはNCV。
昨夏、函館中央病院に入院したときも、こんな感じだったな。
デジャヴを感じた。

病棟から出迎えの看護師。男性。
看護師をめざした動機ってのを、こんど聴いてみたいもんだ。

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◆本日の担当看護師。布施くん。撮影許可済み。爽やか好印象。

6階正面側の病室。4人部屋。
窓からの見晴らしは良い。ただし、眼下に広がるのは
雑然とした住宅街なので、景色が良いわけではない。
五稜郭病院では、ノートパソコンなどの小型電子機器を正式に持ち込める。
(持ち込み料が1日32円かかる。)
いつかのどこかの病院のときとは違ってコソコソしなくて良い。
LANケーブルの差し込み口があった。
無料でインターネット回線につなげるとのこと。
ケーブルを用意してくれば良かったな。
(このブログはPHSの64k回線でアップしています。)

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◆今回は2泊3日なのでオフィスにはしません。
 明日は身動きできないし。ちなみに、面会謝絶でヨロシク。

血圧測定、134の84。俺にしては低い。
12時、昼食。
函館中央病院よりも、横長のトレーに乗せられた料理。
メニューと栄養素が書かれた紙が添えられている。素晴らしい。
糖尿病の教育入院なんかでは、
食事の意味を知りつつ量に慣れるってのが重要だから、
こういう丁寧な配慮はたいへん参考になると思う。
今回は糖尿病での入院ではないが、
1日23単位(1840kcal)であることは伝えてある。

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◆ご飯(180g/やわらかめ) 焼き魚(サバ) コールスローサラダ なめこおろし和え フルーツ
◆537kcal タンパク質13.3g 脂質14.4g 塩分1.1g

昼食後ちょっと病棟を探検。
病室ごとに洗面台があるんだな。差額ナシ病室だが随分快適。
病室入り口には名札なし。ま、これは現代のトレンドだろう。
中央病院では氷が使い放題で、これまた贅沢気分だったな。
(これは入院仲間で同意見多し。)
病人はそれくらいで嬉しくなるんだから、ここはホテルなみだ。
もちろん、宿泊費は高額ではあるが(看護費込みだけどね)。


さて、ここで少しばかり病状解説。
糖尿病に関しては、詳細を別記事に譲るが、
最新の検査結果ではヘモグロビンA1c5.7%という数値を記録。
奇跡の治療効果で、数値的には糖尿病ではなくなった。
(もちろん治ったわけではない。これからも治療は続く。)
じゃあ、なんで入院すんのさ。

今回は腎臓。こんどこんど、と逃げていた腎生検での入院。
詳細体験記は後日ブログに書くつもりだが、
腎生検とは簡単に言えば、背中からプスッと針を刺しまして、
さらにぐいぐいと腎臓まで差し込み細胞を採取する検査。
局所麻酔でおこない、止血のために約1日の安静が必要となる。
ずっと逃げていたのは、なんだかとっても痛そうだから。
腎臓には数カ所にわたって針を刺し込むらしい。

糖尿病の発症(たぶん発症は数年前だと思うけど)以後、
いろいろ調べたら、いろいろ病気じゃないか、ってことがわかった。
その一つが腎臓病の疑いだった。症状としてはタンパク尿。
糖尿病の合併症として腎臓病がある。
放置しておくと、腎臓の機能が低下して、最終的には透析となる。
糖尿病が重症(ヘモグロビンA1c12.7%)だった当時(たった半年前だが)、
僕のタンパク尿は+4を示していた。
現在、糖尿病と高血圧の治療が進み、+1〜+2となっている。
いくつか抱えた病気(しかもそれらは並行的に治療できない)のなかで、
糖尿病が落ち着いたので、お次は腎臓ということに。

腎臓に関しては、糖尿病の合併症かもしれないし、
実は昔から抱えていた症状なのかもしれない。
先日、実家で父母と話をしていて、
小学生のころから尿検査に引っかかっていたことを思い出した。
いつもタンパクが+2くらいで再検査だったんだよね。
で、親は近所の泌尿器科に連れていくんだけど、問題なしと言われてた。
そういえば、大学の健康診断でも引っかかって、腎臓の専門医を紹介されたな。
何度か通ってあとで、「ちょっと痛い検査をしてみないとわからないね」
と言われて、怖くなって通院するのを止めちゃったけど。

そういうわけで、腎臓がどうなっているのか検査することになった。
主治医である函館中央病院にWs医師から、
同じ系列の函館五稜郭病院の腎臓内科に紹介状がまわり入院となった。
ちなみに、検査のための手術は泌尿器科(外科系)で、
腎臓そのものの治療は腎臓内科なんだって。
腎臓に関して詳細な診断を得るためには、
この物理的かつそのまんまな検査(腎臓に針を刺す)をしなくちゃ、
予測さえつかないものだそうで。
逃げても無駄ということ。

このあと、明日の手術について医師から説明があるようだ。
寝間着に着替えるタイミングが。早く来ないかな。
陽当たりが良くて眠くなる。後頭部が日焼けしそうだ。

14時、採血。
これからレントゲンと心電図の検査に行ってくる。
今回の診察は、仕事の都合で1週間予約を早めてもらった。
だから、だから、ちょっと数値に油断がある。
とは言うものの、ヘモグロビンA1c(血糖コントロールの指標)の結果にはご注目。

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2009年12月2日
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函館中央病院
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GOT  58
GPT  131
γ-GTP  105
LDH  230

総コレステロール  212
中性脂肪(LDL、悪玉コレステロール)  127

UA(尿酸)  5.5

血糖値(食事後30分)   110

ヘモグロビンA1c 5.9


肝臓およびコレステロール(中性脂肪)に関係する数値が、
のきなみ上昇(悪化)している。
こいつは、急に診察日を繰り上げることになったので、直前に油断して
唐揚げとかワインとか飲んでいたからだ。
やっぱり、ブログ(日記)をサボっていると、ちょこちょこ不摂生をしてしまうのだ。
数値を見た主治医がひとこと。
「ジャンクな食生活でしたか?」
まったくもって、その通りでございます。数値って、正直ね。いやん。

この結果をみると、やはりダイエットおよび糖尿病治療(血糖コントロール)には、
ブログなどを使って記録し公開していくことの有用性を証明したカタチである。

血糖値は食後30分であるが、良好な数値を示した。
もちろん薬のおかげもあるが、きちんと糖を代謝できる体質に変化したということだろう。
俺の膵臓、いままで苦労かけてスマンかったな。正直、働きすぎだったよ。おまえ。

過去1〜2カ月の血糖コントロール状態を示すヘモグロビンA1cは、
前回より0.1ポイント下がって5.9に。正常値は5.9未満だから、
ほんとうにあと一歩のところまで来た。

主治医には、年末年始は酒にまみれます、と宣言。
「そうですかー。体重90kg台に戻さないでくださいねー。
 じゃあ、次の診察は1月6日にしましょう。」
お、松の内じゃねーか。いじわるな先生だ。

ということで、次回は確実に悪化しております。


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数値の比較
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6月15日→6月22日→7月7日→7月11日→7月15日→8月6日→9月9日→10月7日→11月4日→12月2日
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函館中央病院
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◆体重 ※標準体重:69.157kg
105.6kg → 105.6kg → 104.2kg → 102.4kg → 101.4kg → 96.2kg → 91.3kg → 88.8kg → 87.0kg → 87.1kg

◆γ-GTP(アルコールによる肝臓障害の指標) ※正常値:70以下
301 → 206 → 171 → 146 → 131 → 68 → 80 → 80 → 82 → 105

◆LDH(乳酸脱水素酵素。肝機能障害の指標) ※正常値:106〜211
360 → 238 → 220 → 216 → 211 → 226 → 206 → 199 → 208 → 230

◆総コレステロール ※正常値:150〜219
355 → 259 → 293 → 217 → 191 → 138 → 175 → 180 → 180 → 212

◆中性脂肪(LDL、悪玉コレステロール) ※正常値:70〜139
266 → 182 → 217 → 155 → 129 → 69 → 107 → 109 → 95 → 127

◆尿酸(UA) ※正常値:2.5〜7.0
7.8 → 7.2 → 8.0 → 8.7 → 7.2 → 6.5 → 6.3 → 5.1 → 4.9 → 5.5

◆空腹時血糖(※朝食前) ※正常値:〜110
351(※) → 229(※) → 数値なし → 146(※) → 124(※) → 109(※) → 188(食後2時間) → 100(食後6時間) → 171(食後1時間) → 110(食後30分)

◆ヘモグロビンA1c(HbA1c) ※正常値:4.3〜5.8
12.8 → 数値なし → 数値なし → 数値なし → 数値なし → 8.6 → 6.7 → 6.3 → 6.0 → 5.9


血圧はあいかわらず高いまま(160/100平均)。
尿蛋白が2+に下がっていた。
昨日の出来事になってしまったが、退院日の日記を。
(入院体験の総括は、ひとつ前の記事にて。)

7月19日

ことほどさように、慢性高血糖症(糖尿病)での入院治療十四日目。
函館中央病院にて、心優しき看護師さんに囲まれて。

4時7分起床。
昨日、新たに部屋に加わった男性が見事なイビキ。往復轟音。
おもしろいもんで、看護師さんが廊下をぱたぱたと歩くとイビキは止まる。
そうして、1分後には再開。向かいのおじさんが、たまらず「すげーな」とつぶやく。
イビキ1分間止まる。また、再開。
そういったやりとりが何度もあって、こちらはカーテン越しにくすくすと笑っていた。
朝、おじさんの耳を見ると耳栓をしてた。
「いいもの持ってますね。」
「なんもよ、ぜんぜんだめよ。4時すぎにようやく眠れたわ。」
俺はぐっすりだったけど。

6時くらいまで読書。
入院日記に総括を書こうと思うのだが、まだちょっと乗り気がしない。
うだうだと寝転がっているうちに7時。雨の曇天。

体重測定100.8kg。けっきょく大台は切れず。

7時半、朝食。

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◆この量を覚えなくちゃ。

ご飯、味噌汁(オクラ)、湯通し豚肉と野菜、ほうれんそう、焼き海苔。
とくに無理せずご飯が二口ほど残った。
血圧測定125の85。

朝食後から入院の総括を書く。
11時、書き終える。

荷物の整理。お散歩のついでに持ち帰っていたのだが、
昨日の書籍も加わって、けっこうな重さと体積の荷物に。

11時半、最後の昼食。

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◆最後だからか。豪華だ。お隣さんのも同じメニューだったけど。

パン2枚、バナナ1本、ブロッコリーとトマト、ハンバーグ、牛乳、ジャム。
ゆっくりと噛みしめ咀嚼する。
「これで最後かい。寂しくなるなぁ。」と、Sさん。
たまに、見舞いに来ますよ。
「おぅ、来てくれや。手術までは2週間あるから。」
それから、Sさんと話し込む。
やっぱり話が面白い。仕事の専門的な話も、大門を舞台にした函館紳士たちとの交友録も。
ぜったい本にした方が良いですよ。「そうか。まだ話はいろいろあるよ。」
Sさんも乗り気だ。今度お見舞いに行くとき、書籍の企画をつくっておこう。

Sさんは会社に転地静養と伝えてあるため、ご家族以外はお見舞いに来ることもない。
ちょっと寂しいのかも知れない。
それで、子どもくらいの年齢の俺(Sさんは父より2歳上)に、
いろいろと話をするんだろう。入院患者同士の連帯感もあるだろうし。

入院患者になって強く思った。お見舞いはありがたい。
時間をつぶすとか、なんかもらえるとか、そういうことは副次的なことだ。
世間とつながっている、という安心感。それだ。
お見舞い人のお相手をするなんて煩わしいと思っていたが、
それは間違いだった。こんなに嬉しいことはない。
今後、俺はお見舞いのプロをめざそうと思う。なんだそれ。

13時10分、看護師詰め所に「帰ります」と挨拶。お昼休みなのかな。
このブログを見てくれている看護師さんしかいかなかった。

「糖尿病の勉強をした方が良いですよ。」
「はは、そうだな。」
Sさんがエレベーター前まで見送ってくれる。
「来月末には現場復帰してるからよ。」
トビラが閉まるギリギリまで話をしていた。近日、寄りますよ。

病院前でタクシーに乗車。
ねずみ取りの話。930円で事務所に到着。

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◆事務所入り口。どういう状況なんだ? 最初、星野さんがあわてて外出したので、靴がこういう状態に脱ぎ捨てられているのかと思ったが。でも、これ外靴なんだよね。スリッパで駆けだしたんだろうか。サザエさん?

ラッシーは昼間から家に入って眠っていたようだ。寒いからだろう。
物音に気づいて、お尻のほうからごそごそと家から出てきた。
郵便物のチェック。荷物の仕分け。
カバンから外付けハードディスクを出したら、ずいぶんと軽くなった。
ちょっとめまいがひどい。ひと仕事と思ったが、今日はおとなしく帰宅することに。
久しぶりの運転。めまいでじゃっかん集中力がなし。スピードに戸惑う。
ヤマダ電機に立ち寄る。小さな電機鍋を買う。
入院前に大きめの電機鍋が壊れた(鍋のテフロン加工が剥がれた)ので、
食事療法に合わせた大きさの鍋に買い換えた。
器が小さければ食べる量も制限されるだろう。
病院のメシはうまかったが熱々ってのはなかった。仕方がないことではあるけど。
めまいがひどい。ときどき立ち止まってふらつきに耐える。
昨日、書店に行ってからめまいが再発してしまったようだ。
幸い薬はまだあるし、今月末には耳鼻科の診察もある。
今度の診察で、めまいと糖尿病との関係、
それに書店で背表紙を見ているときに再発したことを、先生に話してみよう。

ハセストに寄る。今日は手の込んだ晩飯をつくるのがめんどう。
梅おにぎり1個(これまではジャンボを躊躇なく手にしていたのに! しかも2つ。)、千切りキャベツ、もやし、豆腐。

14時45分、帰宅。郵便物がごっそり。
きっちり部屋を掃除してから入院して良かった。
変な虫は飛んでいないし、快適な状態だ。
帰ったとたんに便意をもよおす。いつものことだ。腸が安心するんだろ。
トイレに駆け込むと、病院食しか食べていないのに、大物が落下した。
荷物の不在連絡表が2通。さっそく電話。3分で来た。
体重計と血圧計だ。取説を読みながら体重計の設定。
最初の計測をしてみると102.0kg。ま、明日の朝だな。

疲労感がどっと押し寄せたので、荷物の整理もせずに布団へ。
体がだるい。すぐに意識不明。

17時半、起きた。手足が冷たい。めまいは少しおさまった。
体を暖めるため風呂に入ることにする。
お湯がたまるまで晩飯の用意。つっても、鍋に材料をいれるだけ。
あうち。なんてこった。味噌がなかった。てっきり買い置きがあったと勘違い。
即席味噌汁のミソを使うことにする。もやし半袋。豆腐半丁。
これまでなら、もやしも野菜も一食で2袋2丁は食べていたのに。
慣れないことをしたので、豆腐を半分床に落とす。ちくしょう。
いつも木綿豆腐を買うのに、絹ごし豆腐しか売ってなかったからだ。
冷凍庫にあったサトイモを三つ投入。超手抜。おいしくない。

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◆いきなり貧困な食事になって恥ずかしい。夏休みに妻が帰ってきたら彩りも良くなるだろう。

テレビで道南地域のニュースを見ていたら、
「強風で大門祭中止 けが人あり」の報道。警察官に取り囲まれる仙石くんの姿が。
午前10時、イベント開始直後だという。突然の突風だったのだろう。
まったく感じなかった。彼らはイベント慣れしているから、強風がいちばん危ないことも知っているはずだ。強風が収まりそうもなければ、早々にテントをたたみ、風に煽られそうな構造物は撤去してしまうはずだ。
大型のアーチが倒れてケガ人が出てしまったらしい。その方には不幸な出来事ではあるが、時間をかけてイベントを準備してきた彼・彼女らにとっても残念な出来事であったろう。

20時半、あああああああああ、ツール・ド・フランス!
第15ステージで追いつきました。今日の山岳は盛り上がるはず。
と思ったら、23時前に敢えなく落車。起きたら、すでにゴール後だった。
コンタドールが動いたようで。くそー。俺はなにをやっているんだ。
明日こそはっ! と思ったら、明日は休息日。水曜日までお預けなり。


※明日からしばらくは、日常治療日記を書いていくつもりです。
7月19日(日)

そこはかとなく、慢性高血糖症(糖尿病)治療のための入院十四日目。
社会福祉法人厚生院 函館中央病院(日本医療機能評価機構認定施設)にて。

主治医Ws先生および病棟看護師・管理栄養士・事務職員の皆さん、自動製氷器・小型冷蔵庫・全自動洗濯乾燥機、ついでに副院長にも深く感謝。
あと1時間ほどで退院である。

※慢性高血糖症(糖尿病)という表記については、本ブログ「糖尿病入院日記(7月14日)」の13時55分からの記述を参照。また、国立国語研究所「病院の言葉」委員会による「『病院の言葉』を分かりやすくする提案」にある「糖尿病」の項目もご一読いただきたい。

病室にいる間に、いちおう総括的なことを書いておく。
これまでの記事と重複する内容もあるが、反復学習は大切なのでご了承願う。
(って、誰に言ってるんだ?)

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◆著者(隠し撮りによる)近影。俺、前より後ろの方が肉厚だな。【撮影:星野さん(無断使用)】

体調を表す数値や単位がないので、血液検査の結果を比較することで、
2週間の入院成果をふり返ってみたいと思う。

糖尿病の診断(2009年6月15日)から入院までの3週間、
それなりの節制(飲酒は番組収録の1回・野菜を多く摂るなど)で体調はかなり改善していた。
また、通院のきっかけになった膿瘍(※)は、1週間の点滴と3週間の抗生物質投与で静まった。

※これまで本ブログの記事中で「膿傷」と誤記してきた。正しくは膿瘍(のうよう)である。専門用語の聞き取りは難しい。書いてもらった診断書を見て間違いに気がついた。

ちなみに、断片的に書いていた過去の日記によれば、
皮膚に近い部分(つまり眼に見える範囲)の膿瘍は、2008年1月に発症していた。
お腹の下(ちょうどパンツのゴムが当たる部分)にニキビのようなものができて、
あっというまに3cmほどの黒い固まりになった。
2週間ほどして破裂して、皮膚にぼっこり穴があいた。
黒い傷跡が残っている。でも、いま確認してみたら、だいぶ色が薄まっていた。
実はあんまり気色悪くて立派な膿だったので写メで撮影していた。
いま、その写真データをみると、
糖尿病の合併症のひとつとしてあげられる神経障害の症例(足の壊疽)写真にそっくり。
背筋が寒くなる。1年半以上前の発症も怖いが、こいつが不可視な体内にできたことに。
主治医は体内の深い部分にできた膿瘍について、こう説明してくれた。
「常人では考えられませーん。高山さんの膿瘍ができた部分は、無菌であるはずの場所なんですよぉ。普通じゃありません。」
いま、笑えて良かった。


まずは、入院時最新の検査結果。

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2009年7月15日
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函館中央病院
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GOT  43
GPT  68
γ-GTP  131
LDH  211

総コレステロール  191
中性脂肪(LDL、悪玉コレステロール)  129

UA(尿酸)  7.2

血糖値(ターゲス:血糖値日内変動)
 朝食前(7時)   124
 朝食後(9時半)  180 食前後に投薬
 昼食前(11時)  114
 昼食後(13時半) 116 食前に投薬
 夕食前(17時)  118
 夕食後(19時半) 151 食前後に投薬
 就寝前(21時)  156

γ-GTPとコレステロールの下がりっぷりが見事。
血糖値もかなりまともな数値に。食事療法と薬物療法の成果。


そして、初診(通院)から入院中の結果を並べて比較してみる。
まあ、ほんとに、わかりやすいカラダでありますこと。

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数値の比較
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6月15日→6月22日→7月7日→7月11日→7月15日
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函館中央病院
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◆体重 ※標準体重:69.157kg
105.6kg → 105.6kg → 104.2kg → 102.4kg → 101.4kg

◆γ-GTP(アルコールによる肝臓障害の指標) ※正常値:70以下
301 → 206 → 171 → 146 → 131

◆LDH(乳酸脱水素酵素。肝機能障害の指標) ※正常値:106〜211
360 → 238 → 220 → 216 → 211

◆総コレステロール ※正常値:150〜219
355 → 259 → 293 → 217 → 191

◆中性脂肪(LDL、悪玉コレステロール) ※正常値:70〜139
266 → 182 → 217 → 155 → 129

◆尿酸(UA) ※正常値:2.5〜7.0
7.8 → 7.2 → 8.0 → 8.7 → 7.2

◆空腹時血糖(朝食前) ※正常値:〜110
351 → 229 → 数値なし → 146 → 124

◆血圧(測定日の最上値を採用)
測定なし → 測定なし → 180/110 → 173/110 → 139/86


だんとつに、体重は正常値にほど遠い。
これから、長く辛い山岳ステージに挑戦する気分だ。
もちろん山頂ゴールのカテゴリー超級である。(自転車ロードレースで表現。)
体重は最新(7/19)で100.8kg。残念ながら目標の0.1トンには届かなかった。
でも、初診日から数えると約1カ月で4.8kgの減量だ。
(本当に、誰からも「痩せた」と言われないな。なんだよ、もう。)


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主治医Ws先生による診断書
(初診時の所見と症状の経過)
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数カ月前から口渇、多尿が出現していた。2009.6初旬より右下腹部に疼痛を伴う腫瘤が出現、徐々に増悪したため6/15初診。CT、エコーの上、外腹斜筋内に膿瘍を認め、また著明な高血糖を認めた。
外腹斜筋内の膿瘍については外来通院にて加療。糖尿病の加療目的に7/6当科入院となった。食事療法のみでかなり高血糖は改善し、内服薬で血糖コントロール良好となり、7/19退院となった。


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かるく総括。
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盛大なる快気祝いは、もうしばらくお預けにしようと思う。
あっさりスリップする可能性があるので。

さて、僕の高血糖症との交際は、自立的にはこれからが本番だ。
35歳にしてずいぶんと痛めつけた体が、あとどのくらい保つのか。それはわからない。
健康(もしくは小康)の維持には、さまざまな要因がからみあうわけだが、
なかでも「腹八分・飲酒は月2回」という決意を、
どのくらい長く、どのていどの精度で貫けるかが重要であることは間違いない。
酒は百薬の長。然り、然り、呵々大笑。


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◆初診日(6月15日)、病院から帰ってきて用意したノートの表紙。みなぎる決意。あふれる主張。入院当初、「糖尿病を治す気持ちはありますか?」と聞かれて、ここぞとばかりに、この表紙を看護師さんに見せるものの見事に冷たくスルーされた。その後、飲酒に関する相互理解(「あきらめ」成分もあり。)により、この標語に隠された意図を理解していただく。


【補足】
◆アクセスログによると、この「糖尿病入院日記」を掲載した期間中のアクセス数(7/6-7/18までの13日間の集計分)は、訪問者数のべ7175人(1日平均551.9人)・ページビュー15936(一日平均1225.8)だった。
◆WEBの良いところは、この記録がサーバー上から消さない限り閲覧できる状態が続き、また、広大なネットの彼方で誰かの参考になるかも知れないことだ。
◆この記事に関するご質問・ご意見・ご感想、内容に関するご指摘(病気のことだけね。)などありましたら、コメント欄もしくは直メールにてご連絡ください。電子メール:tj@monokaki-0138.jp
7月18日(土)

ようやくながら、明日退院。
慢性高血糖症(2型-インシュリン非依存型糖尿病)の入院治療十三日目。
すっかり暮らし慣れた函館中央病院にて。

4時20分ころ起床。
いったんパソコンを開くも、外は曇り空だし、乗り気がしない。
さらっと斜め読みしていた『糖尿病とたたかう』(ベスト新書)を読む。

「長期間にわたって血糖コントロールした場合でも、時の経過とともに網膜症は発生し進行し、比較的軽い2型の糖尿病でも、発病後5年で35%、10年で55%、20年では73%に網膜症が現れている。しかも、いったん網膜症が出現すると、どの10%近くの人が3年以内に失明に近い状態になっている」(64p)
数字は冷酷だ。
血糖を正常値に近くなるようコントロールをしていても、常人よりも血管(糖尿病合併症の多くは血管の障害が原因)の経年劣化が早まるようだ。

この本は以前の記事で紹介した本(『糖尿病は専門医に...』)よりもイヤミはなく、また、一般人が疑問に思いそうなところを丁寧に、しかも何度も説明してくれる。また、新書版ということで(文庫本に比べて)容量が多いので、解説も詳細で多岐にわたる。ただし、面白味には欠ける。
ただ1点だけ納得いかない記述があった。
「太って、いいことは何もない。ズボンや服が合わないとか、異性にもてないとかだけではなくて、医学的には太ることの利点はない。」
下線部。どうなんだ。これ、科学じゃないだろ。ここだけ思い込みで書いてやがる。

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◆朝食。向かいのおじさんはまだ絶食。

夏山遭難のニュースを聞きながら食事。
ご飯、味噌汁、とろろ、ニラ玉、白菜、牛乳。
俺はそうでもないが、多くの入院患者は(急性を除けば)時間を持て余している。
いまは、時間を消費するアイテムを隠し持つことも可能であろうが(一般的な話です)、
それでも、いちばん簡便なのは、話し相手を見つけることだ。今も昔も。
まず病気の話があって、毎日の天気の話をして、だんだんと家族の話が出て、
それなりに人生経験がある人だと「半生」を語ることもある。
野球でも相撲でもゴルフでも良い。とにかく、ひとりでも話し相手を見つけること。
ニラ玉を食べながら、このニラは知内のかしらと思いつつ、そんなことを考えていた。

おじさんと食後の雑談。窓辺にパイプイスを並べてとりとめなく。
「あんた、退院したら食事が大変だな。どうすんの?」
「とりあえず、もうすぐ妻が帰ってくるので、夏休みの間は何とか。」
「なに、離れて暮らしてるのかい。そりゃ、大変だな。」
「結構当初からですから。俺の稼ぎが少ないので、自分の食い扶持は自分で稼いでもらってます。」
「まぁ、俺も45歳くらいまでは、ほとんど家に帰らなかったからな。」
おじさんの仕事話がかなり面白い。
取材モードの相づち技術で、お話を聞きついでいく。
大門の話。高校生のころから、いわゆる社長たちに連れ回された話とか。
出てくる名前が、いわゆる函館の財界人で、ほぼ全員が故人だったけど。
つい先ごろお亡くなりになった大物も入っていた。
横田基地のホットドッグの話。すげーうまそうだった。
ラーメンや蕎麦の話。奥さんが飲食店を開いていた時期があったそうだ。
「ふらみんご」という名前だったらしい。
大学など学校が多くある町で開業していたので、お店を利用していた学生が、
社会人になってから訪ねてくることもあったそうだ。
ここでは書かないが、とにかくバブルの時代に盛り上がった業界で長く活躍してきたとのこと。
技術と経験を買われて、日本全国・アジア各地を回ってきたらしい。
なんでも、毎日欠かさず記録している日報があるらしい。何十年も。
素晴らしいことだ! すごく読みたい。一冊の本にしたらどうですか?
「いやいや。でも、まぁ、いろんなことがあったわ。おもしろいぜ。」
でしょー。日々の記録ってのは、蓄積されると大きな力になるんだよね。
そういえば、今年の冬、江差追分の青坂さんを取材したとき、
やはり数十年にわたって几帳面な文字で記録してきた日記を見せてもらった。
しかも、ボケ防止だとか言って、その膨大な日記を清書していた。
「書いたのと同じくらい時間かかりそうだわ」。そりゃそうだ。
青坂さんは(船酔いする)漁師だったので、毎日の天候・風向き・波の高さ、
海がどんな色に見えたとか、この日はどこで何を漁したとか、細かに書いてある。
僕なんぞには、とうていできない。たった2週間のブログを書き続けるのでもギリギリだ。
でも、町に埋もれた記録の存在を知るたびに、自分の仕事を思い出せと奮い立つことができる。

10時半くらい。血圧測定127の85。ほとんど健康な人じゃないか。

11時前、最後の取り調べ。いろいろと決意を聞かれる。
なるほど。これも治療法なんだな。

俺も、入院しながら毎日このブログを書いていて、
糖尿病治療に「記録する」ことが使えるんじゃないかと感じていた。
 これは、俺が「ものかき」だからという特殊な事情は関係ない。
 だいたい、めっぽう精神を削られる「書く」行為は、なるべく逃げたいと思っているし。
たとえば、入院中の日記をつけるとか、入院前の食生活を語るとか。
(患者に語らせ、かつ自分の生活を振りかえってもらいには、インタビュー術の訓練が必要だ。いわゆるカウンセラー<有資格者の意味ではなく>的な人が必要になるかも知れない。)
いずれにしろ、寝かせておくだけの治療、投薬や注射を押しつけるだけの治療では、
(とくに2型)糖尿病の患者には手応えがない気がする。
ま、いまどき、そんな医療はないし、患者だって、よく見ていると思うが。
いちど、自分自身とがっつり向き合わなければならない。僕のような病気は。
ただ、反省や後悔をしても治るわけではないので、
「俺ってバカだったなぁ。あはははっは。」ってところから、リ・スタートする。
それが大事かなぁと思う。糖尿病のような、良くも悪くも慢性化する病気は、
長くお付き合いするしかないのだ。投げやりになれば、はい、それまでよ。
なにかしら楽しみとか目標とかを見つけていくしかない。
終わることがないRPG、ひとつのミッションコンプリートは、
新たなミッションの始まりである。いいじゃん。それで。
ゲームのレベル上げって、けっこうはまっちゃうし。
(いまだにファミコン版の「Wiz」「ドラクエⅢ」のレベル上げを楽しむ俺。)

昼食前に1階で入院費などを精算。
たいていは退院日にするものだが、日曜日は事務窓口が休みなので。
現金を残しておきたい気分なので、クレジットカードで決済した。ポイントも貯まるし。

11時半、昼食。お向かいも食事再開。

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◆「おたくはバナナが好きね」と言われた。飽きたので昨日から食べていないけど。

ご飯、ゴボウきんぴら、さんま蒲焼き、大根おろし、ほうれんそう、バナナ。
やっぱ、ちょっとしょっぱい。さんまとバナナを残す。飯も軽く残す。

13時10分、お散歩に出発。小雨模様。テーオー小笠原の書店に向かう。
丸井の交差点で、5月末に閉じてしまったダイエーの店舗を見上げる。

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◆むかしはホリタだったな。弟の友だちに堀田くんがいたな。たしか。

コンサドーレの試合があるようで、大きめの駐車場の入り口には、
試合観戦を目的とした駐車場利用の禁止を告げる看板が。警備員も配置。
テーオー5階の書店へ。
おっ、本棚の向こうに、ひょっこりあらわれた見覚えのある顔。
カミさんの書道の師匠、鈴木大有先生じゃないか。
「ようっ。元気かい?」
「入院してまして。」
「へ。そりゃ聞いてなかった。彼女、そんなに悪かったの?」
「あああ、すんません。この場で言うのも変な話ですが、入院しているのは僕でして。ま、明日には退院するんですが。」
「そうかそうか。どうしたの?」
「てへへ、糖尿でして。痩せろと言われてます。100kg以上ありますか。」
「そんなにあんのか。そりゃ痩せなくちゃだめだ。」
「とりあえず、90kgくらいをめざそうかと。」
「そうか。酒は飲ませられんな。こんどはお茶を用意しておくわ。」
「いやいや、もう、お気をつかわずに。遠慮なくお酒をください。」
俺は入院した方が、いろんな人に会えるらしい。

まず「健康」のコーナー。糖尿病の解説書は、アマゾンで買った2冊より良いものなし。
レシピ本が多い。そして、民間療法(主食ヌキで薬いらず、とか)の本。
今回、ついでに見つかった●●●●の本を購入。
「マンガ」のコーナーで、「新ナニワ金融道」(1〜4巻)を購入。
もともとの作者はガンで亡くなったはず(「ナニ金」は社会人の必読書だ)。
原作者を付けて、作画は青木雄二プロダクションになっていた。
絵のタッチは、ほとんど変わっていない。ちょっと表現は薄ペらになった感じがするが。
「新書」コーナーで6冊ほど。野菜の図鑑みたいな本も買った。

ずいぶんとめまいがする。足もとがふらつく。低血糖症だろうか。
でも、血糖を下げる薬は朝のアマリール0.5錠だけ。
耳鼻科のめまいと迷うところだ。とにかく、長く本の背表紙を眺めていられない。
なんとことだ。ますます、アマゾンでばかり買ってしまうじゃないか。

行きに20分かけた道を、帰りは12分ほどで戻る。4432歩。
今日は涼しいので、それにあまり歩いていないので、汗をかかず。
明日の体重計は、また期待はずれになりそうだ。
汗と言えば、このブログのどこかで書いたと思うが、入院後、とみに汗がくさい。
カミさんに電話でそのことを話すと、ダイエット本の中に
「食事制限を始めると体が臭くなることがあります。それは体の脂肪が燃えているためです。」と書いてあったという。なーる、それだな。二人でくくくくっと笑う。

15時半、予定より1時間早く病棟に戻る。
いつも調書を取る看護師さんに
「早かったですね。良い画(え)は撮れましたか?」と聞かれる。
今日はホリタだけでした。

16時、入浴。ゆっくりと入る。
毎日、足をしっかり洗って、皮膚科で処方されたクリームを塗っていたら、
長年、俺の足に駐屯してきた水虫が、撤退しかけている。
思いやり予算も移転費も拠出していないのに偉い奴らだ。

17時、土曜夕方の定番「アヴァンティ」を聴く。
ウィスキーのソーダ割りが飲みたくなった。
こんど、ラフロイグのソーダ割りを成田くんにお願いしてみよう。

17時半、最後の晩餐。赤ワインもパンもないけど。

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◆とても糖尿病食とは思えない面構え。

ご飯、味噌汁、豚肉すきやき風、白菜、もずく酢、キウイ。
もずく酢がめっぽう酸っぱしょっぱい。向かいのおじさんも同意見。
主菜も濃いめの味付けで、ご飯が先になくなったので少し残す。

20時まで、珍しくベッドに横になって読書。
(結局、消灯時以外はベッドはサブデスクになっていたので、ほとんど寝転がっていない。)

そうだ。昨日、書き忘れた話題。
ずいぶん多くの人がお見舞いに訪れていただいたが、
誰もが「部屋番号を教えてもらうのに、ずいぶんと根掘り葉掘りと聞かれたよ」と話す。
どうやら、●●●●の●●●●●●●さんが入院しているのではないかと。

入院の決断には勇気が必要だった。
2週間も働けないなんて。(でも、よく考えてみると、1カ月くらい引きこもってる時期もあるんだけどさ。)
実際に、周囲に迷惑をかけたし、ずいぶんとお世話にもなった。
でも、体をむしばんでいた糖尿病を、これ以上、見知らぬふりはできなかった。
もう、はっきりとヤヴァイ状態だった。
うん、負けを認めよう。でも、これから延長戦だ。たぶん、シーソーゲームだろうが。

いろんなことを体験し、いろんなことを考え、いろんなことを知った。
心から有意義な入院であったと思う。


あっ、まとめちゃったけど、病院には明日の昼まで居座る予定。
7月17日(金)

もしよろしければ、函館中央病院での入院十二日目の金曜日。
慢性高血糖症(糖尿病)および高血圧および高脂血症の治療中である。
日曜日には退院だ。あと少し。

4時7分に起床。今日は晴れそうだ。
忘れた。昨日のことは、すっきり忘れた。気分も晴天だ。
ということで、日記の書き直し作業に着手。
6時すぎ、向かいの病棟から、びがーっと朝日が登場する。

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◆病棟から見渡した函館。

7時、体重測定100.8kg。おお、一つ目の峠の山頂が見えてきた。
数字をメモするついでに、「もう少しだ!」と書いておいた。
こういうことも叱られるんだろうか。

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◆目玉焼きには醤油ですか? 塩ですか?

7時半、朝食。ご飯、味噌汁(大根葉)、白菜おひたし、牛乳、焼きのり。
正しい朝食。ゆっくりと食べる。
そりゃね、朝4時から起きてりゃ、朝飯だって余裕ありますぜ。

ばりばりと昨日の日記のリロード分を書いていく。
昨日のことだから、もう忘れてしまったと思っていたが、
意外なほど記憶を紡ぎ出すことができて、気が付けばいつもと同じ分量に。
9時くらいに書き終えた。

9時15分、血圧測定139の86。
日曜日で退院ということで、支払いのことを言われる。
精算は土曜日に、とのこと。金額のことを聞きそびれた。あとで聞きに行こう。

朝の集中力を使い果たしたので、午前中はネットで糖尿病食の通販などをチェック。
ニチレイが最大手らしい。調理済み品(おもに主菜・副菜で300kcal前後)か、
材料を送ってくるタイプの二つがある。
そういや、事務所の上の階の会社で、給食サービスを利用しているところがあるな。
月にいくらぐらいなのかね。「函館 宅配 給食 糖尿病食」などでググるも、
しっくりくる検索結果は見つからず。

 話がちょっとズレるけど、糖尿病って商売になるよなぁ。
 ネットで関連項目を検索していると、つくづくそう思う。

宅配業者4社の資料請求をしておく。
その他、入院中に通販で用意したもの。
・体重計(かなり探したが、手頃な価格で100kg以上を100g単位で計量する体重計は見つけられなかった。失礼しちゃうわ。ただ、いま持っている100kg以上は投げやり1kgきざみ表示よりは良い。)
・血圧計(これは安いのを選んだ。こっちは目安だし。)

来週末には小樽からカミさんが帰ってくるから、来月の旧盆くらいまでは
食事に関して問題はないだろう。ただ、飲酒回数がじゃっかん心配だが。
カミさんからのメールを見ると、毎晩、糖尿食メニューを試作してるようだ。
薄味にしてみたら、薄すぎて味気ないとか言っている。
つーか、お前が痩せても仕方ないんだけど。おっぱいも小さくなるぞ。
心配なのは彼女が帰ってからの食事だ。
料理を「つくる」ことを習慣づけられるかが問題だ。
いままでのような趣味の料理ではない。生きるための料理だ。

11時前、主治医の回診。
「書いておきましたよぉ。診断書。もしかすると、退院前にお渡しできるかも知れません。」
あら、すんません。ありがとうございます。
なんか催促したみたいで悪いですね。まぁ、催促したんですが。
昨日、気になった質問をする。
「糖尿病の影響で、記憶力に障害が起こることはあるのでしょうか?」
「直接的には、、、」
「脳の記憶を司る領域の血管が滞るとか。」
「ああ、それはあり得ますね。とにかく、糖尿病は全身の血管に障害を起こす病気ですから。」

そうなんだよなぁ。糖尿病で失明するのも、腎臓を患うのも、足が腐っちまうのも、脳の血管がやぶれちゃうのも、ぜんぶ高血糖によって血管が劣化しちゃうことが「引き金」なんだよね。
別に、尿に糖がふくまれていて、なにかどこかを傷つけるわけじゃない。
尿に糖が出ちゃうような高血糖(もしくはインスリンの枯渇や機能低下)が問題なわけで。
やはり、糖尿病は慢性高血糖症か高血糖性血管障害に改名すべきだと思った。
病気への理解(病気を知る・患者へ配慮する)も進むと思うのだが。

「もうすぐ100kgを切りそうですね。」
「そうなんですよ。あと800gです。」
「退院までは、ぎりぎり難しいかな。」
「いや、今日は外で思いっきり走ってきますから。」
「や・め・て・く・だ・さ・い。」
ということで、主治医とはしばしの別れ。
来月の6日に外来で再会することになる。HbA1Cの数値はどうなっているやら。
「じゃ、試験がんばってください。」
「覚えてましたか。」

11時半、昼飯。
向かいのおじさんは、昨日の昼から絶食状態。
だんだん嘆きが多くなってきて、看護師さんに多少あたる感じもある。
うまくガス抜きをする看護師もいれば、たじろいでしまう看護師もいれば、
とにかくスルーに徹する看護師もいる。
こちらはずっと背中を向けて机の前に座っているので、
声だけしか聞いていないが手に取るように感じる。

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◆今度こそ熱々かと思ったら、やっぱり冷たいそうめんだった。一瞬、天かすが乗っているように見えて、これは脂まつりだ、と思ったが、それは儚い夢だった。

そうめん(鶏ささみ・ほうれんそう・ゆで卵・ネギ)、茄子揚げびたし、湯豆腐、バナナ。
ぜったい醤油は2袋いらんと思った。使わすに、バナナと一緒に冷蔵庫で保管。
そうめんの汁は、汁までカロリーと塩分の計算がされているのかどうかで迷ったが、
底に2.5cmほど残すことにした。入院生活による確実な進歩の跡だ。

13時25分、体温測定34.89度。脈拍チェック。
体温が低いんじゃないだろうか。こんなもんか?
1階に行って自動販売機で道新の朝刊を買ってくる。
「海藻おしば」の記事は無事の載っていたようだ。
とくに、渡島支庁からも道新からも、今回の件での連絡はない。
道新はもうどうでも良いが、渡島支庁とは話し合っておいた方が良いだろうな。

14時、最後の糖尿病教室。今日は薬剤師さんが講師で、糖尿病の薬物療法について。
経口薬とインスリンについての説明。それぞれの薬の効き方とか持続時間とか効く場所とか。
授業を聞きながら思ったこと。
1型と2型の糖尿病は、一緒に説明しちゃいけないな。
あなたは2型です。これから2型の説明をします。と、やらなくちゃ混乱する。
例えば、今日一緒に授業を受けていたおっさんが、
「結局あれだべ。膵臓がダメになったんだべ。」
たぶん、この後のセリフは、
「だもの、インシュリンをうっておけばいいんだべや。」となりがちだ。
糖尿病を短時間で一般的な解説によって説明しようとすると、
たぶん「薬があるべや」と短絡してしまう恐れがあると思う。
この件は、項を独立させて改めて書こうと思う。

14時半、本日もお散歩へ。
リュックいっぱいに着替えや書籍を詰め込んだので重い。
やはり海岸町まで40分。これを30分にすれば、もっと汗をかくだろうな。
事務所に着いたら、仙石くんが「お客様が来てましたよ」と。
携帯の着信履歴を見たら、北日本海運の高橋さんと共栄運輸の木村さんだった。
電話をすると、今から行くからと言われた。
その間に郵便物をチェック。
いま放送中(19日で終了)の「函館酒場寄港」第4話で知り合った神奈川のたかやまさんから。
NCVの一森さんから番組のDVDを送ってもらったのだが、そのお礼状だった。
ご丁寧にありがたい。横浜と函館の開港150周年記念切手が同封されてた。
ありがたし。さっそく私設ライブラリーに収蔵。

高橋さんと木村さんが来る。
「ぜんぜん痩せてないなぁ。」
「食事と運動なんでしょ?」
「運動は腎臓の診断が先送りされたんで、食事とお散歩くらいなんですよ。」
「いやー、つまんでんじゃないの?」
「つまんでませんよ。たしかに、ヤキトリ系の香りが病室に漂うこともありますが。」
「飲み屋の真ん前だもんな。」
「それにしても、痩せてないなぁ。」
「期待はずれですんません。」
過分のお見舞いをいただきありがとうございます。

お隣のみなさんに「じゃ、また、ちょっと入院してくるから」と告げて出発。
せっかくなので、歩いて20秒の共栄運輸さんに立ち寄る。
あっ、いたいた。北村さん。
「なんでいるの? さっき木村くんがお見舞いに行ったんだよ。」
「はい。事務所で会いました。」
飲酒の話ばかりしてた。
たしかに、酒の話ばかりしてましたが、以前と比べたら覚悟して節制するつもりです。
でも、打ち上げをしてないんですよね。千葉ちゃんか。
病院の窓から見おろせる「ミカド」の話もしてた。
かなり軍資金が必要とのこと。酒場寄港の取材費じゃ、ぜったい足りない。
北村さんからも病気へのご支援をいただきました。
今後も楽しく飲めるように、きっちり治療を続けていきたいと思います。

16時半、共栄運輸を出発。5分くらい歩いたら木村さんから電話。
「タオルを忘れてますよ」。わざわざ持ってきてもらう。
「送っていきますか?」 ありがとうございます。
でも、歩かないと、退院までに100kgを切らないと思うので。

だいぶ靴になれてきた。もう少しかな。
靴ズレとかは全然なし。やはり足首のサポートがしっかりしているので、
歩いていて足首が「かくん」とならない。
17時7分、函館市青年センターに立ち寄る。
佐々木さんと10秒ほど会話を交わして、門限があるからと、すぐに出発。
痩せましたね、とは言われず。やっぱり、見た目はぜんぜん変化ないんだな。

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◆「あおセン」って略称だけは、どうかと思うぞ。青少年にはわからんだろうけど。

17時15分、病院到着。それなりに汗をかく。
体質が変わったんだろうか。いま、悪いエキスがあふれてるんだろうか。
ずいぶんと汗が臭い。腋が臭い。
ふだんなら毎朝毎晩シャワーを浴びるから、それに比べりゃ不潔ではあるが。
それにしても臭い。耐えられん。
(どのように解決したかは、病院内超法規的措置なので割愛。)

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◆期間限定本町オフィス。上の方にいます。

17時半、晩飯。向かいのおじさんは、いまだ絶食中。
うーーーーんと唸りながら、どこかへ行ってしまった。

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◆(7月23日追加掲載/載せ忘れていたようです。)

ご飯(やわらかめ)、味噌汁(キャベツ)、ホッケ、大根煮物、きゅうり酢の物、りんご風味のマッシュポテト。
噛みしめながら食べる。

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◆今朝とほぼ同じ画角の写真。

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◆・・・・・・。

7月15日(木)【リロード】

(あ、晴れた。よし気分はよい。書こう。)

慢性高血糖症(糖尿病)による入院十二日目。
函館中央病院の糖尿病クリニカルパスに基づく入院体験の記録。
※以前の日記で「クリティカルパス」と誤記していた。

お爺さんが退院した。木古内の人だった。
長かったのだろうか。看護師さんが、何人も見送りの挨拶をしていた。
キャラメルが好きで、くちゃくちゃと食べていた。
僕のキャラメルコレクション(50種ほどある)を差し上げようかとも思ったが、
賞味期限も切れているので、それはやめにした。

午前中は「海藻おしば」作品の仕上げ作業。
市立はこだて幼稚園の園児と保護者ががつくったものだ。
幼稚園に電話をして、午前中には完成するのでと伝える。
看護師さんが、これ海藻なの? と驚いていた。
ちょうだいと言われるも、そりゃ無理だ。協会の講座に参加してくれ。

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◆仕事部屋から工房に変身。つーか、病室ですから。

向かいのおじさんと、また病気の話。尊厳死の話。医療制度の話。
おじさんは検査のために、朝食は重湯で昼食は抜き。
しきりに、豪華な食事だと嘆いていた。そのたびに笑う。

昼食、なんと八宝菜が出やがる。
タケノコだらけだ。本来なら皿ごと食べない。
しかし、憎むべき空腹は、俺に28年ぶりくらいに八宝菜を食べさせた。
とろりとした汁に、少しタケノコの味が漂っている。
くそ。こんな状況でなければ、お前なぞ食べてやらないのに。
きっちりタケノコは残して食べ終える。
なぜ、こんなにタケノコと八宝菜を恨むのか。
それは小学校1年生のときの給食(日吉ヶ丘小学校1年1組にて)にさかのぼる。
その日の温食は八宝菜だった。そういや、当時は米飯給食は週1回しかなくて、
あとはどんなおかずでもパンを食わされていた。いびつな話だ。
で、八宝菜。当時まだ標準体重以下で、やせていた俺(ほんとだって)。
なんとなく最後に残った八宝菜。
そして、カップの底にごろりと鎮座した大きめの物体。
先割れスプーンにて突き刺し、そいつを口に入れた。
(当時、隣の席の好きな子にスプーンの持ち方が変だと言われたっけ。嫌なことばかり思い出すなぁ。)
ひとかじり。
ぐぇー、えろえろおろおろおろげろげろげー。
この話をすると確実に鳥肌が立つ。思えば、あれがタケノコだった。
口中に広がった不気味な甘い汁。よくあんなものをみんな食べるもんだ。
俺の繊細な味覚には、まったく合わない。
ということで、タケノコが食べられなくなった。怨嗟。

13時10分、看護師詰め所に寄って外出許可証を受け取る。
「今日の教室は大丈夫なのかい?」と今朝の看護師。
「1回受けたコマなので。」
「ぜんぶ覚えた?」
「あー、もちろんですよ。」
「帰ってきたら小テストします。」
ここは職員室か。
緊張すると、その場に順応するまで汗が噴き出すたちで、
しかも、あっ汗が流れているのを見られている、と思うとさらに汗が出る。
職員室は、そんな汗が出る場所だった。
今でも仕事で学校の職員室などへ行くと、ちょっと気圧される感じがする。

お散歩に出発。
電車通りを真っ直ぐ函館駅方面へ。
昭和橋を渡って、合同庁舎の手前で右折。新川町の広小路を歩いていく。
13時40分、丸山靴店。新調の靴にはきかえる。防水スプレーを買う。
事務所に向かって出発。
まだ靴が慣れないので、これまでと違う場所に力がかかるような気がする。

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◆若松町に先月オープンしたお店。星野さんと「REA」のスペルが違うんじゃないのかと話していたが。なにか意図があるんだろうか。

事務所に到着する手前で万歩計を確認。
あれ、1800歩? そんなはずない。設置箇所が悪かったみたいだ。
海岸町の事務所。
俺の車は、潮風と西日にあてられて、順調に白く変色していっている。
やっぱ、エネオスのコーティング洗車は、赤い車にあわないな。
今年も、また磨いてもらわなくちゃダメかもわからん。

事務所で星野さんと麦茶。ラッシーをからかう。
青函博(1988年)の報告書をあげつらう。
15時、そろそろ出発しなければ。
こんどは腹の真ん前に万歩計を取り付ける。

国道5号(国道の場合は「線」が付かない)から、西警察署のある松代通り。
中の橋を渡り、公園通り。共愛会病院の前を歩く。
ちなみに、この橋から下流で亀田川の様相は変化する。
川幅が広くなる真っ直ぐに流れる。大森浜(津軽海峡)まで直進だ。
これはつまり、かつてこの場所から、川の付け替えがおこなわれたということ。

向こうから浅黒い細面の青年が歩いてくる。
じっと俺を見ている。いやだなー。にらみ返す勇気もないし、
眼の焦点を合わせずに、ぼんやりした顔をして足早にすれ違おうとする。
いきなり、青年が立ち止まる。「高山さんですよね。」
誰だ。知らん。「わからないっすか」。
うーん、顔は見たことがあるが、なんか全体的な印象に違和感が。
「江差まで迎えに行ったのに。丸山さんと。」
あーあーあー、FMいるかのADだった人だ。
名前は覚えてないけど。「吉田ですよ。太一です。」(名前違ってたらゴメン)
彼は東京でAV製作会社に入社したと丸山くんから聞いていたけど。
「なに、夢破れて帰ってきたの?」
「そんなことないっす。」
「でも、だいぶガリっとやせたね。体壊した?」
(より)かっこよくなって、服屋のお兄さんっぽい。
だいぶ変わったから、気がつかねーよ。
「かるく胃潰瘍です。それに、親が服屋を開店しまして、アメリカからの仕入れがあるので、僕に手伝いをということで。」
あー、君はアメリカ留学してたんだもんね。ドットをダァットと発音するんだよね。
お店はどこなの?
「すぐ底です。この交差点の先です。」
あっ、あれかい? 「巴亜麻」って看板。前から気になってたんだけど。
「違います。『AKT』って言います。」
そうかそうか。ぜんぜん力になれないけど、がんばってね。
もうすぐ退院なので、飲みに行きましょう。AV現場の話を聞かせてください。
(彼がAV業界に就職していたかどうか、事実確認はおこなっていません。)

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◆これがお店。元「ロリアン」のあった場所。ロリアンと言えば、本通の実家の近くに「ロリアン」という店があったな。30年くらい前だけど。その隣は書店だった。よく「ドラえもん」の単行本を買った。道路を挟んだ並びには文房具屋があった。いまのダイソー山の手店がある交差点だ。あそこはヤマハかなんかのビルだったように記憶している。

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◆なんか貼り紙がしてあったので掲載しておく。

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会話ってのは、実践的に使わないと身に付かないものだ。
小学校への英語教育導入も決まった(んだっけ?)し、
そんなことより、思考や視差を深めるには、
やはり複数の言葉(と言葉が表現する文化)を学ぶべきだ。

俺は日本語(東京語)と函館語の会話、そして松前語の聞き取りしかできないけど。
それでも、都会と街と村の意識の違いなんてものを感じたり考えたりできる。

立ち話をしているうちに門限がせまる。
マリエールの裏手から丸井の向かいに抜けて病院到着。
約束の15時半。ぴったり。海岸町から病院まで4654歩。

病棟のエレベーターのトビラが開く。
15人くらいの妊婦が行進しながら出てくる。
あれ、ボタンを操作している妊婦さん、見たことある顔だなぁ。
あんきもさんだった。
「散歩に出かけるときも後ろ姿を見たんですよ」
そうだったんだ。

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◆春先の画像。2cmだって。今は2kgほど。性別は確認していないそうだ。きっと強い子が生まれてくるよ。写真うつりも良いし。

病棟のロビーが混雑していたので、仕事場じゃなくて病室で話をする。
15時50分ころ、主治医が回診。昨日のターゲスのデータを持ってきてくれる。
(詳しくは別項にて。)
あんきもさんを「カミさんです」と紹介すると、まんまと騙されていた。
悲鳴のような声であんきもさんに否定されたけど。
「血糖値はあかなり改善しました。ほんとうに、どんな食事をしてたんでしょうね」
と、先生があんきもさんに説明をしだす。あのね。包囲網をつくるつもりか。
「高山さんはオブラートに包んで言っても通じないので。」
「あっ、わかります。」
あきらかに、こちらが劣勢である。
ほんとにカミさんに叱られているみたいだ。
話題を変えるために診断書の件を聞いてみた。
「あっ、それはそのくらい時間をいただいてます。最大で2週間ということです。事務から書類が来るのに数日。すぐに書けるときもありますし、なかなか着手できないこともあります。」
この先は、書くべきかどうか迷ったが、お互い大人の発言だし。
僕がブログを書いていることは知っているわけだし。
きっと、ふだんはそういう発言はしないんだろうけど。
「だって、診断書を●●し●も、●●は●●●も●●●せん●●。お●●ですからね。」
あっ、やっぱ、俺はジャーナリストじゃないし、医師との良好な関係を築きたいので。
思わせぶりでゴメンね。
先生が帰ったあと、なぜか、あんきもさんが小声で「めちゃくちゃ美人ですね」と感想。
大声で聞こえるように言ったら、早く診断書を書いてもらえるかも知れないのに。

16時10分、泌尿器科から呼び出しがあったので、あんきもさんとお別れ。
ありがとうございました。それにしても、札幌に行ってしまうのは寂しいねー。

泌尿器科も美人医師なんだよな。いや、別に容姿には興味ないんですがね。
ただ、今日はメガネじゃないな、とか観察してみたり。
先生、なんとなく半笑いなんだよね。
「9月10日の入院ということで。それまでに、体重を減らすということでしたね」。
主治医の先生と「俺」に関する情報交換があったようだ。
「がりがりになるくらい痩せるそうですね」と言って笑っている。
なにを吹き込んだんだ。
「そら無理ですが、できれば6kgくらいは。」
医師と看護師さんから同時に、「聞きましたよ」と言われた。
「10日は仏滅ですね。」
「気にしますか?」
「いいえ、ぜんぜん」。ほんとは結婚式も仏滅にしようと思ったんだけど、
俺以外の全員に反対されたんだよね。創始改名もダメだと言われた。

まだちょっと先の話だが、次の入院は腎臓の生検査だ。
いろいろ説明を受けて恐怖が募った。
背中からぷすりと針を刺して、腎臓の細胞を採取して検査する。
僕の腎臓の症状(尿蛋白が4+)が、糖尿病によるものなのか、生まれつきなのか、
そういつに診断を付けるためのものだ。主治医は後者かも知れないと。
針は1本かと思ったら、15本くらい刺すんだそうだ。
「あの、タンスにぶつけた足の小指の痛さを5とすると、10段階評価でどのくらいの痛みですかね?」
入院説明をしていた看護師さんが、カーテンの後ろに駆けだして、
あきらかにベテランの看護師さんを連れてくる。
「局所麻酔をしますから、中学生でも耐えられる痛みですよ。そりゃ、針を刺すので痛いですが、我慢できないことはありません。」
はぁぁ、痛いってことか。胸が苦しくなる。
「手術室で検査をして、短くて半日はベッドの上で安静です。」
あっ、ということは。「あの、カテーテルとかも、怖いんですが。」
「バルーンですね。うん、じゃあ、病棟に電話してみるから。」
さっと聞いてくれて、尿瓶ですと教えてくれた。
「えーと、検査と入院の費用なんですが、おいくら万円なんでしょうか?」
これもすぐに電話をしてくれたが、担当者不在ということで明日の午後に確認することに。
入院日数がわからないから概算だという。
確認すると、これは手術ではなくて、検査だそうだ。
体に、というか、内臓にたくさん針を刺すのに。治療行為ではないけど。
ということは、生命保険がおりないんだな。
短期間の入院には給付金は付いてないし、手術見舞い金の対象にもならんし。
秋くらいには破産するかもしれん。そうなったら、健康な体で放浪の旅にでよう。

そして夕食。

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◆こんなにご立派な夕食だったので、思わず薬を飲み忘れたわけだ。いつもと違って、皿のレイアウトに手を加えた。3割くらい見た目の美味加減がアップする。

20時40分には、泣きながら寝てしまった。
7月15日(木)

さて、慢性高血糖症(糖尿病)による入院十二日目。
入院体験および治療の記録である。今日だけはフィクションだ。

体重測定101.4kg。
血圧測定156の85。

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◆朝食

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◆昼食

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◆夕食

17時40分、夕食を食べ始める。
18時、夕飯を食べ終わる。
18時40分ころ、食後の薬を飲み忘れていたことに気が付いて薬を飲む。
そう言えば、はて? 食前の薬を飲んだかどうか不安になる。
いつも置く場所に薬の空はない。ということは、薬を飲んでいないか、飲んで空を回収されたかのどっちかだ。病棟では飲み終えた薬の空を看護師さんが回収することで飲み忘れを防いでいる。

どうだったかなぁと記憶をたぐっているところに、
「高山さん、空を回収します。」と看護師さんが来た。
食後の薬の空を渡しながら、「僕は食前の薬を飲みましたかね?」
「そんなことは知りません。飲んだか飲まないかさえ分からないんですか?」
まぁ、飲んだか飲まないか記憶が定かではないから聞いてみたんだけど。
ここ数年、直近の記憶があやふやなことが多くて。それも特に重要なことが抜ける。
「あの飲み忘れたままにしたことは、これまでないと...」
「いえ、そんなことないですよ。2回目ですよ。」
ぴしゃりと言われる。そうだったな。
で、薬の飲み忘れシステムがあるから、
食べ始めているところで慌てて薬を飲んだことは、2回以上あった。

食事を目の前にすると、早く食べたいという意識が盛り上がってしまう。
恒例のメニュー写真の撮影も、2〜3度、忘れそうになったこともあった。
それにしても、ぴしゃりと言われてしまった。僕は怒られたんだろうか。それは曲解か。
まともに薬さえ飲めない僕に、叱咤激励をしてくれたのだろうか。
よくわからない心持ちになってしまった。
でも、僕は薬を飲んだかどうかについて、看護師さんに聞くしかなかったんだ。

うん。これは質問の仕方が悪かったんだろう。
「では、僕は薬の空をお渡ししましたか?」
「もらってないですよ。」
じゃあ、まぁ、飲んでいないんだろう。
それをチェックするための空回収システムなんだろうし。
ただ、その素晴らしいシステムも、記憶のあいまいな患者がボタンを押してみても(質問をしてみても)、そのボタンの押す角度や時間が異なれば効力を発揮しないようである。多くの人にとって簡単に使いこなせるボタンでも、それをうまく押せない人もいるかもしれない。俺が、そうなのかはわからない。入院も十日を越えて油断したのかもしれない。このまま退院しては、薬を飲み忘れて血糖コントロールに失敗するかもしれない。糖尿病と記憶障害の関係ついては、明日の回診で主治医に聞いてみよう。

はーー、でも、俺、入院して始めて暗い気持ちになったなぁ。
動悸がする。胃が痛い。表情が沈む。酒を飲みたい。逃げだしたい。
悔しいなぁ。悔しいなぁ。悔しいなぁ。悔しいなぁ。悔しいなぁ
俺、もし脳の血管でも破裂して、動くことも話すことも不自由になって、
でも、意識や思考は鮮明で、
自分ではどうしようもないってことだけは把握できる状態になったら、
自殺を望むだろうな。そればかり考えるだろう。
そして、自死さえも不随の状態では実行できない悲劇。この世でいちばんの恐怖。

早く退院したい。

今日はもう書けない。
楽しいことがたくさんあった日だったが、それは明日、空が晴れていたら書くことにする。

薬を欠かしてしまうほどの忘れっぽさだから、
明日にはきっとすべて忘れてるだろう。



※この文章はフィクションです。現実の人物・団体などに一切関係ありません。
7月15日(水)

かくなる上は、糖尿病(慢性高血糖症)の入院治療十一日目。
函館中央病院でお世話になっています。あと4日で退院だ。

6時起床。昨夜は、ちょっと遅めの就寝だった。
雨降り。薄暗い。風があるので窓を開けられない。
今日はお散歩に出かけられないなぁ。
原稿書きながらの貧乏ゆすりが運動になるのかしら。

体重測定101.4kg。やはり朝の便通なし。
入院十日目でようやく3.2kgの減量。たった3.1%の減少率。
ようやく1989年当時の消費税導入当時の数値に。
スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・ハンガリーでは消費税率25%だという。
俺の体重減少率はそれでも足りない。
ちなみに、5000万円を超えて1億円以下の相続がある場合は税率30%。
俺には縁のない話ではあるが。

7時、採血。
あっ、この看護師さんは。
「たぶん大丈夫だと思うんですけど...」。
細い針で痛くもなく失敗もなかった。不安な会話を笑える精神を持っていて良かった。
血圧測定156の101。
血を抜いたので体重減ったかと思い体重計に乗る。
ま、7ccで減るわけなし。

朝食。7時半。
ご飯、味噌汁(とろろ昆布)、白菜おひたし(だし醤油)、きゅうり酢の物、納豆・きざみネギ、牛乳。

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◆入院食で初めての納豆。納豆ほどうまいものはない。大粒が好き。

昨日、着手しかけていた原稿の続き。
お隣の爺さんが退院するようだ。
「もっと自分でできるようにならなくちゃだめよ」と看護師さんに励まされていた。

9時20分、血圧測定131の83。トレビアン!

「ちょっと体重が増えましたね。」
「えっ、そんなことはないですが。確かに昨日は便秘で600g増えましたけど、今日は一昨日より200g、つまり800gの減量なんですけど。」と色めき立つ。
どうやら、寝ぼけて記録用紙に書き間違えたようだ。
(あとでチェックしたら書き間違えてなかったけど。)
「みんなで、この食事で増えるんだとしたら、外出したときに...って話してたんだよ。」
なんてことだ。ショック。やっぱ基本的に信用されていないんだな。
ま、信用しにくい体型ではあるが。

9時半、本日2回目の採血。担当看護師のSさん。
ほとんど痛くない。早いし太めの針だけど。
「体重、減ってますので。」と言うと、さっき聞きましたと笑われる。
採血の後で体重計に乗ってみる。102.8kg。
メシは1.4kgもあるんだ。水も飲んでるとは言え。
宿便なんぞを抱えている皆さまは、出しちゃえば3kgくらい減るんじゃなかろうか。
体重を減らすの楽しくなってきたなぁ。でも、やりすぎると早々に落車するんだよな。
よく言われるのは1カ月で2kg。俺は3kgくらいを目標にしても良いかもね。

10時前、1階の文書受付窓口に。
生命保険の診断書を書いてもらうための手続き。
「退院した時点から診断書を書きますので、お渡しまで1週間から2週間ほどいただきます。」
うぇっ。そんなに時間かかるんだ。入院前に書類をそろえた意味があんまりないね。
保険会社は速達で送ってきてくれたのに。2週間後か。
「診断書をお渡しするときにお支払いとなります。」
入院費ではなく、診断書代ってことだな。たぶん。いくらなんだろう。
こちらも事務手続きがあるから、支払いを2週間くらい待ってもらおうか。
あっ、私物のクリアファイルを回収されちゃった。

病院って、事前に費用を言ってくれないよね。
CTはおいくら万円、レントゲンはいくら、この注射は何百円とか。
ま、いちいち言っていたら、面倒とは思うが。
ただ、高額になる検査だけでも、こちらから聞かなくても教えてほしいものだ。
例えば、内科の外来初診日の請求は17,180円(保険点数5,725点)だった。
国保30%自己負担の金額である。
病院慣れしていないと、なんぼほどお金がかかるのかわからないものだ。
幸い函館中央病院は、みちのく銀行・北洋銀行・ゆうちょ銀行のATMがある。
いったん自動精算機で請求額を確かめた上でキャンセルボタンを押して、
ATMでお金を引き出してから、再度、自動精算機で支払いを済ませた。
入院費も診察室では教えてもらえなかった。
「おいくら万円でしょうか?」と、入院の説明をしてくれた外来の看護師さんに聞いて、
ようやく内科外来窓口から、あとでお知らせしますと言われた。
(このときは、たまたま担当者が不在ということで、あとでfax.してもらった。)

医療関係者にしてみれば、ひじょうに細かくて小さいことかも知れないが、
いまのお寒い時代、僕もふくめて生活の余裕などない者にとって、
病気も治療も気になるが、それと同じくらいの切実さをもって医療費を気にしているのだ。
ただ、医療費を聞いて、治療や通院をあきらめるのも切ないことだが。
予測できない医療費を心配して、病院へ行くことをためらっている人も多いだろう。

最近、ある病院で働いている人(医療事務)にインタビューしたとき、
「患者さんが医療費への不安を持っているのは確かですね。最近は、ジェネリックでお願いします、と言ってくる患者さんが確実に増えていますから。」
と話してくれた。
昨日のブログ記事で紹介した文庫本『糖尿病は専門医にまかせなさい』の中で、
「ひと言でいうと『安い薬』だ。(中略)私は一切ジェネリック薬は使わない。糖尿病治療は薬が勝負だ。(中略)薬だけはベストのものを使い続けたい。初めに開発した製薬メーカーの薬のほうに私は信頼感を持っている。」(154-155pと)と書かれていた。
いかにも専門家の言葉だなと思った。
まぁ、東京銀座に医院を開業している医師だから言えることでもある。

もうひとつ気になったのは、この医師の言葉から類推すると、
ジェネリック薬ってのは、効果が低かったり不安定だったり、
薬としての品質が落ちるのだろうか? それとも、そんな気がするってことか。
最新の薬ではないことは確かであるが。
こうも書いてあった。「(ジェネリック薬の)公定価格はオリジナルよりも三〜五割安い(中略)薬局などへの卸価格は、公定価格の半分以下のことが多く、薬局などでもジェネリック薬のほうが利益が出る」。
開発も営業も「後発」であれば、そういった販売手法をとることも有るのかも知れない。

10時半、昨日のトラブルの件で川嶋先生から電話。
けっこう怒っている。先生は研究者であると同時に
役所の人間(北海道水産試験場の場長を歴任)だったわりに役人に厳しい。
「驚きましたね。机の前にいるだけの典型的な役人なんだな。
 なんにも勉強していない。いまさら、海藻おしばを禁止などと。
 いちど、渡島支庁へ話し合いに行かなくちゃならんと思いましたよ。」
そうですね。ただ、僕も道新の校閲責任者を経由して聞いた話なので、
渡島支庁の水産課とは直接やりとりしていませんから。
抗議のニュアンスをふくんだ文書は提出したので、少し待ちましょうか。

11時前、主治医のWs先生の回診。今日は病気の説明。
これは2週間の糖尿病入院(血糖コントロール)における
クリティカルパス(治療の工程表、治療計画)の手順のひとつ。
病室で患者と対面しながら、種類を仲立ちに病状を解説してくれる。
いろいろ会話をしていたが、ここでは煩雑になるので箇条書きで記録しておく。

【病状】
◆2型糖尿病です。
◆食事療法で血糖コントロールが改善しています。
 (運動療法は腎臓の診断が付いていないので開始せず。)
◆腎臓機能に問題はないが、尿蛋白の原因に診断が出ていません。仮に腎臓の合併症が進行すると、浮腫や肺水腫が生じる危険があります。
◆眼の合併症は生じていません。
◆自覚症状はありませんが、腱反射の低下などから末梢神経障害の存在が示唆されます。
◆水虫に注意が必要です。治療中。

【治療の優先順位】
(1)良好な血糖コントロールの維持
(1)良好な血圧コントロールの維持 ※同率1位
(3)血中脂質の改善(悪玉コレステロールを下げる)

【現在必要な治療】
◆糖尿病の一般的な食事療法
◆降圧剤
◆塩分制限
◆経口血糖降下剤
◆高脂血症薬
◆禁酒  という気持ちで酒量を減らす。(笑)
◆特殊な食事療法(蛋白制限) ※腎臓の診断が付いてから。

「今朝の血液検査の数値ですが、やはりかなり良くなっていました。糖尿病の薬を減らし、運動療法はせずに食事療法だけで血糖値が下がっているということは、いままでの食事はなんだったのかってことです。」
入院前の散々な食生活は包み隠さずに(じゃっかん増量して)伝えたので、
どうやら症例として興味深い(?)と判断されたようだ。
医師・看護師・管理栄養士などが集まる糖尿病の検討会みたいなもので、
あまたいる糖尿病患者の中から検査対象になったという。
「みごとに当選です」。嬉しくないわ。
いや、できれば、その場に参加して、どんな話をしているか聞きたいところ。

11時15分、すっかり忘れてた。
看護師さんが病室まで来て採血。手の甲。ちょっぴり痛い。

11時20分、函館大妻高校の外山茂樹校長先生が病室に。
目標体重は69kgなんですと言うと、それは無理じゃないかな、と言われた。
まぁ、同感です。90kgだな、とも言われるが、もうちっと減らそうかと。

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◆こちらは大妻高校福祉科オリジナルグッズだ。

学校にあった古いピアノの話。
食物健康科棟のカフェスペースに飾ってあったのを、
横浜にある工房へ運んで修理してもらっているとのこと。
このピアノ、もしかすると明治時代のものかも知れないらしい。
大正末期、初代校長(外山ハツ)が横浜で買い求め、函館へ運んだらしい。
横浜はペリーの来港、そして開港をきっかけに、楽器産業が発達した土地だという。
開港つながりの函館で、その横浜のピアノが残されていた。
もしかすると、あちらの博物館で所蔵されているピアノよりも、
製作年代が古い可能性もあるらしい。ロマンを感じる話だ。

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◆とあるライブ音源CD。さっそくiPODに入れておく。

「まだまだ、がんばってもらわないといけないから。しっかり治すように。」
ありがとうございます。学校の百周年記念誌までは執筆したいと思っています。

11時45分、校長先生を見送ってから昼食。

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◆カレー! やっぱり嬉しい。まるでガキだ。

カレーを楽しみながら、たまたま耳に入ったマイケル ジャクソンの「The Way You Make Me Feel」を聞いて、イントロが「函館イカ踊り」にそっくりで驚いた。ちなみに、マイケルは1987年のリリース。イカは1981年だ。
きっと、もっと前に「いただき」した曲があるんだろうけど。

13時半、採血。
「痛いときと痛くないときがありますね?」
「痛みの神経に触れたときは痛いんですよ」とSさん。
でも、Sさんの採血は、あんまり痛くないんだよな。
神経をよけて刺す技術を体得してるんだろうか。
思うに、Sさんの場合、手順がきっちりしてるんだよね。
「手を握ってください。」
「少しチクっとしますよ。」(この声かけのあと針刺しまでに躊躇がない)
「手の先は痺れませんか。」
「はい終わりました。抜くとき少し痛いですよ。」
「2〜3分、ここをしっかり押さえておいてください。」(この最後の言葉で、注射跡の押さえつけを忘れない。結果、青くなって数日間跡が残るということがなくなる。)
あとは、不安げな発言や態度をしない。これも重要だ。
お任せするしかない患者の立場ではあるものの、そこは生身の人間である。
痛みは感じるし、なるべく痛くない方が嬉しいものだ。

14時、糖尿病教室。今日は食事療法の話。
出席者が順番に、入院前の食事と病院での食事の量について聞かれる。
「いやあ、俺はまともに食べてねんだ。酒はいっぱい飲んで、さらっと食うだけよ」
これ、俺じゃないよ。思わず声を出して笑う。
通っていると、妙な連帯感が生まれておもしろい。

15時半くらいに原稿アップ。もうひとつ書いておきたい。

16時、星野さんが来る。
病室でうしろから写真を撮られていることに気が付かなかった。
1階のドトールでおしゃべり。紅茶ごちそうさま。
アルハンブラ宮殿、レコンキスタ、観光政策、イザベラ バード、中央ふ頭、室蘭、谷地頭、共同通船、遊覧船の話など。
途中から副院長も来て、病院経営についての話など。
まぁ、あとは退院してから書くことにしよう、かな。
話こんでいるうちに17時を過ぎていたので、ちょっと焦って病棟へ。

採血。
晩ご飯前に入浴。ひとりで入浴するには広い浴槽でゆったり。
じゃっかんめまい。頭痛。ありえないことだが、寝不足かもね。

洗濯。なぜか、あと200円残っていたカードがエラーに。
乾燥機って便利だな。

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◆晩餐。水戸黄門を見ながら食べてみた。

17時半、夕食。
ご飯、焼き魚(塩サバ)、すまし汁、白菜浅漬け、ささぎのそぼろ煮。
飯を食べながら向かいのおじさんと病気話。
どうやら、医者から長くかかると言われたらしい。
午後から家族も来てたし。
技術畑を歩んできた人らしく、仕事の話など聞くとおもしろい。

夕食を食べ終えて、本日最後の原稿仕事。
30分ほどで終了。ほぼリライト作業だったので、かるく。
19時半、採血。右腕。まだ、もう1回ある。
食後、胃もたれ。食べ過ぎた感じ。二口くらい残しておけば良かった。

ハコダテ150のMLで、あんきもさんから衝撃のメール。
あぁ、見送ってばかりだなぁ。
函館で生きていこうと覚悟したときには、
こんなにちょくちょく悲しく寂しい気持ちになるとは想像してなかった。

最後の採血。無事終了。
看護師さんの「おつかれさまでした。」の言葉が嬉しい。

ブログ記事のまとめ作業。
書ききれそうもないので、いくつかのネタは明日以降にまわそうと思う。
今夜は新しいシーツで就寝だ。
でも、なぜかパジャマの交換がないなぁ。俺だけ。

外は雨だ。梁川町のネオンが滲んでいた。

プロフィール

高山潤
函館市および道南圏(渡島・檜山)を拠点に活動するフリーランスのライター、編集者、版元、TVディレクター、奥尻島旅人。元C型肝炎患者(抗ウィルス治療でウィルス再燃、インターフェロン・リバビリン併用療法でウィルス消滅で寛解)、2型糖尿病患者(慢性高血糖症・DM・2009年6月より療養中)。酒豪。函館市(亀田地区)出身、第一次オイルショックの年に生まれる。父母はいわゆる団塊世代。取材活動のテーマは、民衆史(色川史学)を軸にした人・街・暮らしのルポルタージュ、地域の文化や歴史の再発見、身近な話題や出来事への驚きと感動。詳しくはWEBサイト「ものかき工房」にて。NCV「函館酒場寄港」案内人、NCV「函館図鑑」調査員(企画・構成・取材・出演・ナレーション)。


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